「20代で家業再建した2代目」が示す探究の凄み ミシュラン二つ星獲得したすし名店の流儀

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しょうゆは「ヤマサ」です。スーパーでもお馴染みの商品です。そのまま使うとしょっぱいので、酒や出汁で割って煮切りしょうゆにします。すっきりとしていて気に入っています。

すしは総合的なバランスで作り上げるものです。非常に繊細で、調味料同士のバランスを取るのは至難の業。しょうゆをはじめ、今までさまざまな塩・砂糖・酢を試してきました。結果、良い調味料同士は個々の主張があり、混ざり合うとバランスが崩れてしまうことが多いということに気がついたのです。高価な調味料であれば良い味になるという単純な話ではないんですね。

「ヤマサ」のしょうゆを煮切りしょうゆにして使う(写真:井上浩輝)

表現したい味の終着点で選んだステンレス製の包丁

包丁は佐賀県「二葉商会」の坂下勝美さんに造っていただいたものです。お気に入りで、2年ほど使用していますが、まだ研いだことはありません。ステンレス製です。一般的には本焼き包丁も使用しますが、切ることでお魚に酸化を施す味の終着点が今の僕の考えに合わないので使用していません。本焼き包丁なら玄海正国(まさくに)が愛用です。

2年ほど使っても研いだことがない包丁(写真:井上浩輝)
工藤 順也 「鮨 一幸」店主

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くどう じゅんや

1981年北海道札幌市生まれ。父が82年に創業した『鮨一幸』の長男として、子どもの頃から店を手伝い、6歳のときには出張先で巻物を担当。17歳で父と一緒にカウンターに立つ。25歳で店を受け継ぐ。2012年、30歳でミシュランガイド一つ星を獲得。2017年ミシュランガイド二つ星に昇格。The Tabelog Awardは、2018、2019、2021年にゴールド。

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