――100人のブッキングはスムーズにいったのでしょうか。
大杉漣さんのトリビュート(賛辞、追悼)的な作品になっている側面があり、それが大きかったです。大杉さんの愛した現場でお芝居をしたかったという思いで多くの役者さんが快諾してくれました。本来ならば、これだけの方々が出演する作品だと番手をどうするかが問題になります。でも、この作品に関しては、みなさんそこは気にされませんでした。我々にとってはある意味とても助かりました。出演していただいたみなさんに本当に感謝しています。
出演者100人の気持ちの集大成
――これだけの方々が一丸になって映像作品を作り上げる姿には感動を覚えます。コロナ禍において不要不急と言われたエンターテインメントの力を改めて示しています。
いつの世の中においても、エンターテインメントがない時代はない。もちろんエンターテインメントが持つ力を信じたいという気持ちはありました。ただ、それより伝えたかったことは別にあります。
どの業種でも同じですけど、物事を成し遂げることってなかなかうまくいかない。現実においては成功しないことのほうがほとんどで、ドラマや映画の世界以上に想像を超えるようなトラブルが必ず起きる。また、たとえ成功してもそれが本当の成功なのかもわからない。でも、それもありきの人生であり、仕事。それを乗り越えていく過程こそが大切であり、そこに生きる喜びがあると思うのです。
そして、その過程に必要なのが仲間。コロナや不況の世の中では、昨日までの想定が崩れていくことばかり。でも役者たちは、不要不急と言われたエンターテインメントの世界で歯を食いしばって仕事を続けている。
全身全霊をかけてかたくなに仕事をする人たちがいて、どんなトラブルがあっても作り上げよう、成し遂げようとする人たちの熱い思いや笑顔がある。それが伝わればと思います。たとえ困難があろうともみんなが集まれば形にできる、という100人の気持ちの集大成になっているのがこの映画です。
――映画では、この物語の根底に大杉漣さんの意思があることが最後に温かく映し出されます。
キャスト、スタッフ全員が大杉漣さんへの思いを持っていたと思います。大杉さんはこの仕事を愛していました。いつも現場を盛り上げて、若い人と一緒になって現場を楽しみながらつねにチャレンジを続け、自分のキャリアを生かしてみんなを引っ張る。そういう大杉さんの現場愛、役者愛、仕事愛が確かに現場にありました。そういう思いが込められている映画です。
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