あの「スーパーマン」を黒人俳優が演じる必然 理由は決して「ポリコレ」への配慮だけじゃない
「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、黒いスーパーマンだ!」
そう叫びたくなる映画のプロジェクトが、現在ハリウッドで進行している。ワーナー・ブラザースとDCが製作するリブート版『スーパーマン』で、主人公は黒人になる予定なのだ。
実は「黒人のスーパーマン」というアイデア自体は前にも出ており、2019年にワーナーと俳優でプロデューサーのマイケル・B・ジョーダンが話し合いをしたことがある。その時は先に進まなかったが、今になって再始動し出したというわけだ。
本作のプロデューサーは「スターウォーズ」シリーズなどで有名なJ・J・エイブラムス、脚本を手がけるのはタナハシ・コーツ。エイブラムスは声明で、「まだ語られていない、新しく、パワフルなスーパーマンの話があります。才能豊かなコーツ氏と一緒に、その話をビッグスクリーンで語れることに、興奮を感じています」と語っている。
ハリウッドが目指す「脱・白人男性至上主義」
本作に登場するスーパーマンが、おなじみのカル=エルことクラーク・ケントなのかどうかはわからない。原作コミックには、カレルことカルヴィン・エリスという名の黒人スーパーマンが登場するので、彼が主役の映画かもしれない。
また、主演がジョーダンになるのかも不明である。しかし、ジョーダンのプロダクション会社アウトライアー・ソサエティは、2019年にワーナーと製作のパートナーシップ契約を結んでいて、ジョーダンとワーナーは親しい関係にある。今作はアウトライアーが製作する映画ではないが、そういった背景から、ジョーダンに声がかかる可能性は決して低くない。
実は、「黒人のスーパーマン」はふたつの意味で優れたアイデアだ。ひとつは、今、最も重視される「ダイバーシティ(多様性)」にかなっていること。ポリコレと言われてしまえばそうかもしれない。
だが、ハリウッドのメジャースタジオによるアクション超大作は、「ヒーローは白人男性」というイメージがどっぷり定着している上、多額の予算をつぎこむため、スタジオがリスクを恐れ、多様化を持ち込むのが他のジャンルより遅れていた。
そんな中、2017年に公開された女性が主人公の『ワンダーウーマン』と、翌2018年に黒人が主人公の『ブラックパンサー』が大ヒット。観客は白人男性以外のスーパーヒーローを喜んで受け入れるのだと証明されたのだ。
その結果にスタジオは安心した一方で、ますます意識して白人男性以外のヒーローを生まなければというプレッシャーも感じているのである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら