「鬼滅の刃」と「半沢直樹」2大ヒットの大きな差

テレビドラマの王者も国民的広がりでは後塵

2020年の2大ヒット作を分けた埋めがたい差とは?(東洋経済オンライン編集部撮影)

最初にお断りしておきたいのは、アニメ「鬼滅の刃」も、ドラマ「半沢直樹」も素晴らしい作品であり、コンテンツとしてのクオリティに優劣をつけたいわけではないこと。両作は2020年を代表する2大ヒット作であるにもかかわらず、現在は「鬼滅の刃」のすさまじい盛り上がりによって、「半沢直樹」が完全に忘れ去られてしまっています。

日本映画史の記録を塗り替えそうな「鬼滅の刃」に対して、「半沢直樹」はテレビ史に残るような結果を得られたとは言えないのではないでしょうか。既刊数の差こそあれ原作本の売り上げに大きく違いがあること、SNSのコメントや関連記事の多さ、企業コラボ、さらなる続編が制作される発展性など、「半沢直樹」はさまざまな点で「鬼滅の刃」に及ばないところがあるのです。

もともと両作には、「原作本がある」「今年公開・放送されたのは新作ではなく続編」「善と悪がはっきり分かれた勧善懲悪のストーリー」「仲間とチームを組んで巨悪と戦う」「主人公を上回るほどの人気キャラが多く、登場人物が多彩」などの共通点が少なくありません。

共通点が多いうえに、どちらも素晴らしいクオリティの作品であるにもかかわらず、なぜ現在のような差がついてしまったのでしょうか。

間口を広げた“視聴者ファースト”

アニメ「鬼滅の刃」は昨年4~9月にかけてテレビ放送されたものの、日本テレビやフジテレビなどのキー局ではなく、20局を集めたとはいえTOKYO MXなどの独立局と地方局ばかりでした。

しかし、制作サイドは放送開始前に第1話から第5話をまとめた特別上映版「鬼滅の刃 兄妹の絆」を全国11カ所で2週間限定公開。「漫画原作のファンをあえて集めて見てもらい、アニメ版の是非を問う」という積極的なプロモーションに挑んだ結果、熱烈なレコメンドを得ることに成功し、追い風が吹いた状態でアニメをスタートさせることができました。

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