「鬼滅の刃」と「半沢直樹」2大ヒットの大きな差 テレビドラマの王者も国民的広がりでは後塵
テレビドラマのグッズ展開で目を引いたのは、2018年に放送された「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)。放送終了後、繰り返し新たな番組グッズを制作・販売してファンを喜ばせましたが、それでも影響は限定的なものにとどまりました。ドラマの企業コラボも、TBSのドラマ枠「日曜劇場」などが単発で行うのみで活発とは言えず、やはり視聴率獲得重視のスタンス。ヒット作は映画化などで稼ごうとするものの、ビジネスとしては甘いところがあるのです。
「鬼滅の刃」はさまざまな業界の企業とコラボすることで経済面だけでなく、「作品を宣伝する」「ファン層を広げ、愛着を深める」という好循環を生み出しました。もともとテレビアニメの放送・配信によって女性層の人気に火がつくなど、「鬼滅の刃」はファン層の広さで知られていましたが、今秋の映画公開や地上波ゴールデン・プライムタイムでの放送で、つかみ切れていなかった層にもリーチできたことが、企業コラボの追い風になったのでしょう。
ドラマは『鬼滅の刃』から学べるか
最後にふれておきたいのは、今回のコラムを書いた意図について。
2020年の2大ヒット作とはいえ、アニメ映画とテレビドラマというジャンルの異なる「鬼滅の刃」と「半沢直樹」を比較したのは、「テレビドラマに変わってほしい」「『鬼滅の刃』のいいところを見習ってほしい」という思いからでした。
どんなに素晴らしい作品でも、より多くの人々に見てもらわなければ意味がないし、「放送局ありき」「視聴率獲得ばかり」の姿勢では、成功のスケールは広がっていかないでしょう。「半沢直樹」に限らず、テレビドラマにはまだまだ可能性があり、もっともっと視聴者と向き合うことがブランディングやマネタイズの強化につながり、よりスケールの大きい成功につながっていくのではないでしょうか。
ドラマ「半沢直樹」は素晴らしい作品でした。だからこそ、アニメ「鬼滅の刃」の凄まじいヒットから学べることが多いような気がしてならないのです。
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