また、ドラマや映画の現場には、主役の方がいてこその作品のなかで、そのまわりには軽やかに、でもしっかりと作品を支えている脇役の方々がいる。逆にいい共演者がいないと芝居が上にあがっていかないし、台本以上のものが出てこなかったりします。その方々のすごさを感じてほしかった。そのすごさが世間の方には「脇役」としてしか見られていないことへの忸怩たる思いもあったと思います。
そういうところを共感してもらえるように作ろうとしていたんですけど、実はそれが制作を進めるうちに変わっていったんです。彼らは主役も脇役も関係なくお芝居を楽しんでいる、仕事に誇りを持って邁進している方々。その姿を見ているうちに、主役や仕事のポジションに対する脇役の悲哀や承認欲求のようなドラマを作る方向性ではなくなっていきました。
どちらかというと、主役はいろいろなしがらみに囚われているけど、キャリアに裏打ちされた揺るぎない強さがありつつ、脇にいてある意味自由に大暴れできる役者たちの生き様の人間ドラマ。しかもあの世代なりの絆があってかっこよくてチャーミング。そこをフィーチャーしていくようになっていきました。視聴者もそういう魅力にひかれていったのではないでしょうか。
――いまの社会において共感される部分も多いドラマだと思います。
メインに光を当てず、端のほうをフィーチャーする視点は、日本社会が不況に陥っていき、夢がかなえられる世の中ではなくなっているなかで、誰もがどこかに共感でき、応援したくなる気持ちにさせられるところがあるのかもしれません。
次世代に継承したい「主役がいない群像劇」
――大杉漣さんをはじめ、初期『バイプレイヤーズ』の6人が目指していたのが映画製作でしたが、ドラマ3シリーズを経てついに実現。役所広司さんや天海祐希さんのほか、そうそうたる顔ぶれの主演級キャストを含む100人もの俳優が出演する壮大なプロジェクトになりました。
シーズン2の途中で急逝された大杉漣さんが映画化を望んでいましたから、それは僕が果たさないといけない役割だとずっと思っていました。そうしたなか今回の映画が徐々に動き出し、大杉さんがいないなか、元祖の方々から「メインではなく支える立場で次の世代に継承していくものにしたい」とお話がありました。
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