脇役が主役「バイプレイヤーズ」映画化に至る道 プロデューサーが語る「100人出演」実現の秘策

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――脇役をフィーチャーする視点が興味深かったです。

みなさん名脇役と言われていますけど、当時から主演もされていますから、厳密には脇役とは言い切れないですが、プロであり実力者であり、かつベテランである方々に焦点を当てたかった。強面のみなさんの穏やかな素の笑顔や優しさ、中学生みたいにはしゃぐかわいらしさといったチャーミングさのギャップを全面に出していきたいと思っていました。

――テレビ東京らしいドラマという印象を受けました。

企画が先にあり、尖っていて面白いことをやっているブランドイメージのテレビ東京さんの「ドラマ24」枠向きだと思って持ち込みました。最初はこの6人が集まるわけがないとも言われましたが、とても面白がってもらえて。テレビ東京さんは懐が深くて、チャレンジしていただけました。

セオリーの逆をいく面白さ

――近年の“バイプレブーム”や“おじさんブーム”があり、いまでこそベテラン俳優への一般層からの引きがありますが、当時は脇役を主演に据えることへの数字の懸念はありませんでしたか。

ヒットドラマを作りたいという思いだけで制作に携わっているのではありません。もちろんあるにはありますよ(笑)。これだけコンテンツがあふれるなかで、こんなドラマ見たことがないというもの、世の中的な話題になるものを作りたいという気持ちが強くあった。

人気俳優を主演に添えて確実にヒットを狙っていく手法もありますが、実はこんな面白さがあるというのを提示できたら本望。あのクラスの同世代のおじさんがずらりと揃うこの企画には、新しい価値観がある。かっこいいではなく、むしろ強面のおじさんの「かわいい」をフィーチャーするような、通常のセオリーから逆をいくことがかっこよくみえる、面白がってもらえるという確信がありました。

――一般社会における大多数の人たちは主役ではないかもしれません。脇役をフィーチャーする本作は、そんな人たちへのエールやメッセージでもあるのでしょうか。

半分は当たっていて半分は違いますね。僕は制作会社の所属ですが、テレビ局や映画会社といったプラットフォーマーとは違って、制作を請け負ってコンテンツを作る側であり、ビジネスにおいてはメインに立つ側ではない。

若手役者たちが自主映画を企画するが、100人のキャストにセットも確保できないという窮地に陥る。その危機を救うべく元祖バイプレイヤーズたちが立ち上がる ©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

そういうなかでも、顔と名前が一致するクリエイターも生まれていて、僕ら制作会社の顔の見えないスタッフだっていいコンテンツを作っているし、そういうクリエイターとして認知してもらいたいという気持ちもどこかにあったのかもしれないです。

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