そこで必要になるのが、異国への適応力だ。現地紙『ウルティモ・ノティシア』のジュリアス・ココ記者が、こう説明する。
「外国人が新しい文化に適応する際、障壁になるのが言語だ。メジャーでプレーする選手には通訳がついてくれるが、マイナーリーグは自分の力で周囲とコミュニケーションを取らなければならない。マイナーにはアメリカ人に加え、様々な国の人がやって来る。そうした状況で、キュラソーの選手にとって言語力は大きな強みだ」
島民の65~80%が英語を話す
キュラソーの小学校では現地のパピアメント語、英語、公用語のオランダ語、スペイン語の授業が行われ、65〜80%の島民が英語を話すという。言語習得能力が高いのは、地政学的な背景があると地元テレビ局「テレ・キュラソー」のレポーター、グレン・トーマスが言う。
「日本と中国、韓国が同じ東アジアにあるのに互いの言葉を話さないのは、いずれも大きな国家だからだと思う。カリブ海諸国はどこも小さいが、それぞれの関係性が深い。キュラソーから飛行機に乗れば、30分でスペイン語圏のベネズエラに行ける。1時間の距離にあるプエルトリコ人は、英語とスペイン語を話す。英語圏のジャマイカも近い。そうしたカリブ海に住んでいるから、我々は多くの言葉を学べるんだ」
キュラソーの首都ウィレムスタットは、美しい街並が世界遺産に登録されている。アメリカに加え、直行便が飛んでいるオランダのアムステルダム、ドイツのデュッセルドルフからの観光客が街にあふれ、外国人と接する環境が日常の中にある。主要産業は観光業と海運業で、かつて栄えた石油精製業やオフショア金融センターで働く者もいる。つまり仕事をするうえで、外国人と接する機会が多いのだ。ちなみに島民の生活水準は決して高いとはいえないものの、ドミニカと比べると遥かに恵まれている。
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