人口15万のキュラソー島が野球王国なワケ 優秀な野球選手の輩出地として世界が注目

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現地紙『ウルティモ・ノティシア』のジュリアス・ココ記者

日常生活に根付く多様性は、キュラソーの伝統でもある。1499年にスペイン人とイタリア人によって発見されて以降、外国の影響を多分に受けてきた。そんな歴史がキュラソー人の長所になっていると、前述のココ記者が言う。

「キュラソーは小さな島だが、多くの人々や文化が入り込んできている。例えばスーパーマーケットで働くのは中国人で、バーではオランダ人、床屋ではラテンの人々、街の洋服屋に勤めるのはインド人だ。我々は、異国の人々と日常的にコミュニケーションを取らなくてはならない。中国語は話せないが、スーパーで自分が欲しいものを伝える必要があるからね。そうした状況が日常にあるから、我々は言語のバリアを簡単に乗り越え、外国人とも互いに意思疎通することができる。マイナーリーグでプレーする選手にとって、文化間の障壁を乗り越えるのは本当に重要だ。コミュニケーションを取れなければ、ひとりで隅っこに黙って座っているしかないからね」

異文化に溶け込めるキュラソー人の長所

昨年、バレンティンの本塁打記録を取材するため、ココ記者は来日した。驚いたのが、バレンティンが言葉の通じない日本人選手たちと仲良くしていたことだ。さらに試合後、一緒にディスコのVIPルームに行くと、ペルーやコロンビアの女性がスペイン語の曲に合わせて踊っていた。ココ記者は改めて、キュラソー人の長所を再確認したという。

だがバレンティンのように活躍し、大金を稼げるプロ野球選手はほんの一握りにすぎない。だから少年野球のコーチたちは、勉強の重要性について口を酸っぱくして説く。その理由をココ記者が説明する。

アンドリュー・ジョーンズを指導したアーネスト・メイヤー氏

「プロと契約できる年齢は16歳。その時点で、学校の勉強を全然していなかったとしよう。野球選手として10年間プレーしてもメジャーに到達できなかった場合、引退後の人生で新しい何かを望むのは難しくなる。学校でろくに勉強せず、メジャーリーガーになれなかったら、人生にぽっかりと穴が空いてしまうんだ」

2008年、アメリカで「Sugar」という映画が話題になった。ドミニカ人選手のミゲル・サントスが言葉の壁に苦しみながらメジャー昇格を目指したものの、ケガでキャリアを終え、アメリカに残って第二の人生で格闘する姿を描いたストーリーだ。日本でもプロ野球選手のセカンドキャリアが時々話題になるが、中南米選手にとっては比較にならないほど深刻な問題となっている。自国に帰っても、職を得るのが容易ではないからだ。そうした事情について、アンドリュー・ジョーンズを少年時代に指導したアーネスト・メイヤーが語る。

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