和歌山「赤ちゃんパンダ誕生」5つの異例な事情 コロナ禍でさまざまな困難が立ちはだかった
一方、楓浜の4頭の姉(桜浜、桃浜、結浜、彩浜)は3月中旬に、竹幹でできたフィーダー(給餌器)をプレゼントされた。フィーダーには、いくつか穴があいている。パンダがフィーダーを振ると、穴からペレット(栄養のある動物用ビスケット)やニンジンが飛び出す仕組みだ。
フィーダーを使えば、採食のための行動が複雑になり、採食にかける時間が長くなる。それにより、行動の時間配分が、野生のパンダに近くなるという効果が期待されている。また、行動の選択肢も増えるため、刺激は脳に良い影響を与えている可能性もある。ちなみに上野動物園にいるシャンシャン(香香)も、時折、嬉しそうに竹幹を振っていた。
観光客は人口の100倍超
現在、楓浜の観覧者数は抽選で絞られているものの、地元企業などは、楓浜の誕生・公開でまちの活性化に弾みがつくとして期待を寄せる。
JR西日本は、特急列車「パンダくろしお サステナブルSmileトレイン」で、赤ちゃんパンダをデザインした座席カバーを3月20日から使用。白浜を中心にバスを走らせている明光バスは、パンダなど動物の写真をラッピングしたバス「パンダ白浜エクスプレス~未来をツナグSmileバス~」を運行している。
さらに森トラストが運営する南紀白浜マリオットホテルは、楓浜の公開に合わせて、3月12日から「Happy Panda Room」の提供をスタート。
室内は、パンダが食べない竹幹にパンダ型の細工をほどこして間接照明にしたり、永明と良浜の実物大の足のイラストを床や鏡につけたりと、細かい点まで凝っている。
ほかにも白浜町では、至るところで「パンダのまち 白浜」の文字や、パンダの写真・イラストを見かける。
白浜町は、人口約2万人に対し、観光客の数は2019年で約345万人に上る。だがコロナ禍の影響を受けた2020年は約237万人と前年の約3分の2に落ち込んだ。筆者が3月に白浜で乗ったタクシーの運転手は「生活できなくなったが転職は難しいので、去年から夜にホテルでアルバイトをしている」とも話していた。
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