和歌山「赤ちゃんパンダ誕生」5つの異例な事情 コロナ禍でさまざまな困難が立ちはだかった

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2020年12月16日には、中国から研究員2人が来園した。同園に約3カ月間滞在して、楓浜への授乳や排泄の補助、体温測定などを担当し、順調に成長するよう管理した。また、日本のスタッフは、母親の良浜(らうひん)など、ほかのパンダについても気になることを中国から来た研究員に尋ねて、アドバイスを受けたという。

2つ目の「異例」は、性別が違ったことだ。アドベンチャーワールドでは、楓浜が誕生した2020年11月22日に「雄」と発表した。同園における雄のパンダの誕生は10年ぶりだ。しかし、その1カ月後の12月22日、「雌」と判明したと発表した。

同園のスタッフは、楓浜が生まれた数時間後に、(親パンダである)良浜から楓浜を預かり、肛門と尿道口の形態や長さを観察。肛門と尿道口の間が短いと「雌」、長いと「雄」として見分けた。加えて、過去のデータを参照したり、中国の研究員に相談もしていた。その後も、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地と協力・連携しながら観察を続け、12月21日に再び性別判定をした結果、「雌」と確定した。

性別判定で間違える

アドベンチャーワールドで生まれたパンダの性別が違ったのは、実は楓浜が2例目だ。1例目は、2005年に生まれた幸浜。誕生当初に「雌」と判定したが、実際は「雄」だった。

パンダの性別判定は難しい。パンダ研究が進んでいる中国ですら間違ったことがあるし、日本の他の動物園でも例がある。上野動物園は、1986年6月に生まれたトントン(童童)を「雄の可能性が高い」と発表したが、後に「雌」と判明した。

神戸市立王子動物園へ2000年7月に来たコウコウ(興興)は、中国から「雄」として貸し出された。だが、王子動物園によると「性成熟不全が判明したため」、2002年12月に中国へ返還。代わりの雄のパンダ(コウコウの名を継承)が中国から来た。

王子動物園は、現在も初代コウコウを「雄」としているが、「雌」もしくは両性具有の可能性が高い。実際、初代コウコウは中国で出産している。

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