LINEが8000万人のデータ管理で損ねた信頼 日本へのデータ移転は「止血」にすぎない
夜の記者会見に先立ち、ZHDの主催でLINEのデータガバナンスを検証する特別委員会の第1回会合が開催された。
出席したZHDの川邊健太郎CEOは、「LINEの中国からのアクセスの完全遮断、国内へのデータの完全移転については、統合後の新生ZHDがLINEの親会社としてきちんと履行を監督管理していく」と語気を強めて述べた。
座長を務める東京大学大学院法学政治学研究科の宍戸常寿教授は、「そもそもの問題はデータがどう取り扱われ、必要な説明がユーザーに行われていたかというデータガバナンスにある。LINEから示されたのは安心安全を確保するための緊急措置で、まだ止血をしただけの段階」と指摘したうえで、「これからどういう手術が必要なのかをスピード感を持って検討し、適時に決まったことを報告したい」と話した。
コミュニケーションを怠ったツケ
もっとも、大規模なクラウドのデータベースは「分散コンピューティング」と呼ばれる考え方が基本だ。例えば、アメリカのIT大手グーグルはドキュメントや画像のファイルに関して、ユーザーの画面には一つのファイルとして表示されているが、実際には世界中のデータセンターに分散して保存されている。
金融機関など機密性の高い情報を扱う企業はデータを保存する地理的な場所が重視されるが、セキュリティ企業幹部が「クラウドを活用する限りは海外のサーバーを何らかの形で経由するのは普通にあること」と語るように、すべてのデータを国内で管理することはビジネスとして一般的ではない。いずれにしても、「今回の問題は、保存場所などをきちんと説明していなかったことにある」(同)。
「信頼回復のために」。記者会見で出澤CEOらはそう繰り返した。日本へのデータ移転では新たなデータセンターへの投資も必要になるという。今回の問題を受けて、自治体の利用停止が広がっている。ユーザーに対する真摯なコミュニケーションを怠ったツケは大きい。
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