NTT社長が「GAFAの監視社会」に見いだす勝機

ビジネスを通じて得られるデータは誰のものか

澤田社長は海外事業でGAFAとは異なるビジネスモデルを追求していることを強調した(撮影:尾形文繁)
NTTのグループ売上高に占める海外事業の比率はいまだ2割と小さい。2018年の就任以来、NTTの澤田純社長はこれを強化すべく、グローバル事業の再編や世界的大企業の提携など矢継ぎ早に新たな手を打ってきた。海外展開の拡大を推し進めるうえでGAFAのビジネスモデルとの違いを澤田社長は強調する。

 

――今回のNTTドコモの完全子会社化は国内の足場固めといえます。一方、2018年に澤田社長が就任してから、海外事業の強化を進めてきました。どんな立ち位置を目指しますか。

「BtoBtoX」と呼ばれるモデルだ。われわれ(B)が法人や自治体の顧客(B)にいろいろなソリューションを提案して、その先のエンドユーザー(X)向けに一緒に新しい事業をつくりましょうということ。海外はもともと国内以上にBtoBの色が強い。システム構築やプラットフォーム(データセンターやソフトウェア)などソリューションに近い部分をやっている。

消費者向けのビジネスはやはりGAFAが世界レベルで強い。よほどユニークでないと成長できない。(NTTとしては)そこでGAFAと戦う気もあまりないので、BtoBが必然的に多くなる。

データを持たなくても仕事は増える

――海外事業では特にスマートシティに注力しています。手応えは。

(2018年に受注した最初の大型案件である)アメリカのラスベガス市でNTTが採用された理由が、(カメラやセンサーなどの)セキュリティソリューションで集められた街の中のデータについて「市が持つべきでしょう」と言ったことだ。市としてもデータは市のものであり、住民のものであるという考え方だった。

実はここでもGAFAが広義の競争相手になっている。彼らにとって、データは自分のものであり、(広告などで稼ぐため)ビジネスモデルがまったく違う。入札時の競合は開示されてはいないが、競合企業はすべて「データをくれ」と言ったと聞かされた。(受注してから)2年経つが、結果的にラスベガスの中では仕事がどんどん増えている。

――NTTとしては、データを持たなくてもシステム構築や運用に徹することが競争力につながると。

そう思っている。グーグルの関連会社がカナダでスマートシティを進める話も結局流れてしまった。彼らはデータを何かに加工して売っている。さらにGAFAの強大化が問題になっている。(アメリカ政府のような)公権力が規制しようとするのは、個人のデータをすべて集めることに皆が恐怖を持っているからだ。

われわれのようなビジネスモデルは、サイバー空間での「自由民主主義」なんですよ。これが本音。映画『ターミネーター』に出てくる「スカイネット」のような世界(特定の誰かが情報を握る監視社会)にさせないために、われわれが必要なんじゃないかと思っている。

東洋経済プラスの連載「反撃のNTT」で、この記事の全文版を無料でお読みいただけます。同連載ではNTTグループ6社のトップインタビューも配信しています。
NTT社長「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」
NTTドコモ社長「ギリギリ準備が整った。早急にV字回復させる」
NTTコミュニケーションズ社長「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」
NTTデータ社長「もっと上へ“世界トップ5”目指す」
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