NTTドコモ新社長、「ヒット不在」の強烈な危機感 今のドコモに勢いを示す象徴が見当たらない

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ドコモ新社長の井伊氏は「新しい領域にチャレンジするDNAはドコモにある」と語った(撮影:大澤誠)
NTTドコモはグループの半分以上の利益を生み出す稼ぎ頭だが、2019年の料金値下げで大幅な減益となった。今や売上高、利益ともにKDDIとソフトバンクの後塵を拝する。ライバルが通信契約数を順調に伸ばす一方、ドコモは直近3四半期連続で前年同期に比べて純減となった。契約者の流出に歯止めをかけるのは喫緊の課題だ。
そのドコモを再び回復させるべく送り込まれたのが、NTT東日本からNTTの副社長に転じ、2020年6月にドコモの副社長に就いた井伊基之氏だ。弱体化したドコモをどう上向かせるのか。12月から社長として指揮を執る井伊氏を直撃した。

 

――契約数でシェアトップのドコモが、売上高と利益でKDDIとソフトバンクの後塵を拝した要因は何だったと分析していますか。

ドコモはNTTグループの中で利益の貢献が最も大きい子会社だった。やはりグループ全体の業績を考えたときに、ドコモには右肩上がりで利益を伸ばしてほしいという期待感がある。ただ料金をどんどん値下げする中で利益が減る。減益を補完する手立てとしてドコモは金融や決済などの事業を進めてきたが、そのメニューが不足していた。

今回の(持ち株会社による)完全子会社化で、固定通信や法人向けのソリューションを持っているNTTコミュニケーションズと連携し、減収に対処していかないといけない。KDDIとソフトバンクは法人営業でそれがすでにできている。固定通信も活用したクラウドやAIのサービスを取り込まないともう勝てない。

完全子会社化は他社と同じ土俵に立つための準備ができた、というふうにしかとらえていない。やっと固定回線が手に入る。これは遅かったかもしれない。だが5Gが広がるタイミングでギリギリセーフだった。

ドコモ社員は「悔しいと思うべき」

――歴史を振り返ると、「iモード」で席巻した時期がいちばん勢いがあり、だんだん「つまらない会社になっていった」という社内外の声も聞きます。そうした変化をトップとしてどうとらえていますか。

iモードがスタートしたのは1999年で、20年が経った今でもドコモの元気の良さの象徴になっている。つまり、この20年間でそれに続くヒット作が出せていないということ。ドコモの社員は本来、そのことを悔しいと思わなくちゃいけない。

もちろん「dポイント」の経済圏を広げたりだとか、何もしてこなかったわけではない。ただiモードがあまりにも革新的だった。「GAFA」も含めていろいろなサービスが出てくる中で、確かに目立つものが打ち出せていなかった。それを変えなくちゃいけないのも私の立場だ。

東洋経済プラスの連載「反撃のNTT」で、この記事の全文版を無料でお読みいただけます。連載ではNTTグループ6社のトップインタビューも配信しています。
NTT社長「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」
NTTドコモ社長「ギリギリ準備が整った。早急にV字回復させる」
NTTコミュニケーションズ社長「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」
NTTデータ社長「もっと上へ“世界トップ5”目指す」
NTT東日本社長「地域密着型の“ICT商社”に生まれ変わる」
NTT西日本社長「地域分散の“弱み”を“強み”にできる」
中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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