NTTが突然示した「新生ドコモグループ」の戦略 いきなり出てきた「検討の方向性」で決定か

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意外な場所でNTTドコモの新戦略が“公表”された(撮影:尾形文繁)

「NTTドコモ完全子会社化後の連携強化に関する検討の方向性」――。12月25日の午前中に開催された総務省の有識者会議で、NTTがきわめて具体的なタイムスケジュールを明らかにした。

その内容は、まず2021年夏をメドにNTTドコモがNTTコミュニケーションズ(コム)とNTTコムウェア(現在は2社とも持ち株会社の100%出資)を子会社化する。そして、2022年春~夏頃をメドとしてドコモとコムなどにおける機能整理(個人向け営業や法人事業など)を行うというもの。整理内容は有識者会議に提出された資料に細かく記されている(下図)。

これはまったくなかった話ではない。NTTが9月末にドコモの完全子会社化を発表した際、「NTTコミュニケーションズやNTTコムウェアのNTTドコモへの移管など、グループ会社との連携強化について検討していく」としていた。だがその後、具体的なスケジュールがNTTから示されることはなかった。

総務省で公表した内容がドコモやコムの社員に発表されたのも、12月25日の朝だったという。今回の方針だと、ドコモの法人事業はコミュニケーションズに移管される見込みだが、「会社を移ることに抵抗感がある人は多そうだ」(ドコモ社員)。

方針は変更される可能性も?

NTTの計画が示された有識者会議は、「公正競争確保の在り方に関する検討会議」。NTTによるドコモの完全子会社化に対し、競合であるKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなどが公正競争上の懸念を表明し、11月に意見申立書を総務大臣へ提出したことを受けたものだ。その第2回目だった。NTTは「あくまで現時点での検討の方向性について説明したものであり、今後変更となる可能性がある」としている。

もっとも、スピーディーな判断を求めるのがNTTの澤田純社長の特徴だ。澤田氏は東洋経済のインタビューで、ドコモの強化策について、「一番わかりやすいのはコストだ。完全子会社化を経てドコモがコムと連携すれば、コスト効率が良くなる」と話している。「検討の方向性」という位置づけだが、ドコモによるコムの子会社化が2021年夏から大幅に遅れることはないのだろう。

東洋経済プラスの連載「反撃のNTT」では、NTTグループ6社のトップインタビューを配信しています。
NTT社長「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」
NTTドコモ社長「ギリギリ準備が整った。早急にV字回復させる」
NTTコミュニケーションズ社長「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」
NTTデータ社長「もっと上へ“世界トップ5”目指す」
NTT東日本社長「地域密着型の“ICT商社”に生まれ変わる」
NTT西日本社長「地域分散の“弱み”を“強み”にできる」
中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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