4月からは改正割賦販売法により、クレジットカード会社が与信枠の設定に人工知能(AI)やビッグデータ分析を使えるようになる。コード決済事業者なども参入できるよう、登録制度も設けられるようだ。キャンペーンで還元されたポイントを、この人物はいつ・何に・いくら使うのか。それが大事なビジネスの種になる。
給与もデジタルマネーで支払いへ
ケータイキャリアがスマホ決済とそれにひもづくポイントを利用して、ユーザーを確保し、通話料金以外の金融で稼ぐ――。そうなると、銀行ものんびりしてはいられない。なにせ、2021年からは「デジタル給与払い」が解禁される。これまでは銀行振り込みがほとんどだった勤労者の給与を、デジタルマネーでも支給できるように解禁しようというのだ。
実際には給与の全額ではなく一部になると思われるが、PayPayやau PAY、d払いの残高で受け取れる未来が視野に入ってくる。この動きはユーザー側も歓迎しており、公正取引委員会が昨年行った調査では、もしコード決済事業者のアカウントに対して賃金の支払いが行えるようになったら、約4割の利用者が自分のアカウントへの振込を検討すると回答しているという。
実際に、ヤフーはリモートワーク支援として5万円相当をPayPayマネーライトで付与すると発表している。そのまま自社のオンラインサービスで使ってもらったり、PayPay加盟店で消費してもらえるメリットもあるが、これがデジタル給与の下地作りであることは間違いない。この先、給与として毎月PayPay残高が付与されれば、これほどおいしい話はないだろう。デジタルマネーを使えば使うほどポイントも貯まり続け、さらに利用者を囲い込める。
たかが“おまけ”だったポイントを横串に使うことで、スマホ決済、クレジットカード払い、そしてその決済元としての各グループの銀行へとつながる道筋ができる。
例えば4月から名称が「PayPay銀行」へと変更になるジャパンネット銀行。新規で口座を開き1万5000円以上を入金、さらにPayPayチャージ用の口座に登録すると現金4500円プレゼントというキャンペーン中だ(4月30日まで。PayPayアプリからの申し込み限定)。4500円もらえるなら一度口座解約して再度開こうか悩む、とのツイートまで見かけた。
決済アプリからグループ銀行への資金還流が生まれ、やがては住宅ローンなど「もっと稼げる」アプローチもくる。これまでレガシー銀行が握っていた、個人のお金の流れが横取りされてしまうかもしれない。
「ポイントを貯めたいだけだったのに」と、無邪気な買い物をしているうちにわれわれのお金の流れと消費行動はガラス張りにされていく。
そもそも、事業者側が繰り広げる「出血大サービス」とは、お客様のためではなく、自分たちの稼ぎのためにやるのは常識ではないか。自分の利用履歴が蓄積されることを理解したうえで、おトクさと便利さを享受するべきだろう。
よくよく考えると“ちょっぴり怖いポイントの話”は、これでひとまずお終いにしておく。
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