本当は怖い「スマホ料金」値下げ合戦のウラ側 私たちは本当にトクをするのか?

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さらに、通常PontaをECサイト「au PAYマーケット」限定のPontaポイント(有効期限あり)へと交換すると50%増量、つまり1.5倍になる。おまけにauスマートパスプレミアム会員なら100%増量つまり2倍にアップできるという大サービスまで。期間限定のキャンペーンとはいえ、ポイント2倍はめったに聞かない。PayPayもau PAYも他社スマホでも使えるアプリだが、やはり自社ユーザーへの優待はじつに手厚いのだ。

3月に大量還元キャンペーンを利用すると、そのポイントが付与されるのは4月以降になることが多い。その時差がユーザーを他キャリアに逃さない足かせにもなると考えるのは意地が悪いだろうか。

最後にドコモのdポイント。こちらもd払いで合計2000ポイントまでの20%還元キャンペーンを3月12日まで実施していた。しかし、他社と比べ、自社サービスに囲い込む動きは弱い。契約者を逃さないとの余裕があるのか、決済サービスよりクレジットカードのdカードで稼いでもらおうと考えているのかもしれないが。

スマホによるポイント還元は金融業への入り口

なぜここまでポイントをばらまくのか。1つには、優遇を武器にキャリア契約者を維持したいため、そして付与したポイントを原資として決済サービスをどんどん使ってほしいためだろう。

ソフトバンクやauは今後、決済アプリを入り口に金融業で稼ぎたいと考えている。とくに、スマホネイティブな若者層へアプローチしたい。いわゆるレガシー的な大手銀行や証券会社がつかんでいる中・高所得層ではなく、これから消費や資産形成を活発化させるであろうZ世代をつかんでおきたいはずだ。

そこはまさに、各社の新プランが狙うデジタル層とも重なる。銀行取引も資産運用もアプリで行うことに抵抗はないうえ、ポイントを資産の一部として貯めたり増やしたりと使いこなしている。例えば「ポイント投資」はもはや彼らの“たしなみ”と言っていい。

ポイントをきっかけに、決済、借入、保険、資産運用等の入り口をアプリで束ねれば、グループ内に抱えた銀行、証券、保険に送客できる。しかも、決済アプリを使ってもらえばもらうほど、消費額や購買履歴のデータがたまっていく。それは金融商品をアプローチするには欠かせない材料となるだろう。

また、各社が乗り出しているのは、ユーザーへの融資、つまり貸付だ。過去の決済データを利用することで、所得がまだ少ない若年層に対しても与信枠を設定できるようになる。

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