子供の貧困が小学校教師を激しく疲弊させる訳

小学校は変わりゆく日本の矛盾の縮図である

コロナ禍による経済活動の縮小の影響で、さらに貧困家庭が増えていけば、小学校教師たちが疲弊していき、教師のやる気の有無にかかわらず、教育の質の低下が起きていくことが予想される。教育の質の低下を通じて、格差が広がり貧困の固定化が進むことは、否定できない。対策としては仕事の量を減らすか、担当者を増やすか、両方を組み合わせるしかない。

その点では、文部科学省が学級の上限人数を引き下げることは、教師の仕事量を減らすという点で間違っていない。調査統括である東京大学の勝野教授はこう話している。

学校と社会をつなげる専門職の充足を

「学級の児童生徒数を少なくするというような施策の効果を上げるためにも、スクールソーシャルワーカーなど学校と社会をつなげることができる専門職の充足が求められているように思います。本調査での別項目において、全回答者の約74%がスクールソーシャルワーカーを必要だと回答しており、さらに88%の回答者が、スクールソーシャルワーカーが役立っていると回答しています。

今後、新型コロナウイルスによる経済活動の制限によって生じた貧困が明らかになっていくと、生まれて初めて貧困と向き合う世帯もあるでしょう。当然戸惑う子どもや保護者もおられると思います。ひとり親、共働きにかかわらず、どんな世帯でも、貧困と向き合う家庭と教師、学校を支援できるような環境整備を行わないと、本調査の結果どおり教師の労働時間増加が貧困状況とともに広がり、最悪教育崩壊につながることもありえるでしょう」

日本の社会はいま経済の衰退、格差の拡大と貧困の増加という社会構造の変化、離婚の増加に伴う家庭のあり方の変化、働き方の変化など大きな変容を遂げつつあり、小学校にはその課題と矛盾が凝縮して現れているとも言える。

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