時短営業後に「困窮者へ無料弁当」飲食店の思い 「夜も暇になるし、1日6万円の協力金は多い」

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2021年2月、弁当パックにおかずをつめる哲男さん(写真:弁護士ドットコム編集部)

午後8時までの時短営業が終わったあと、その飲食店の厨房は「第2のピーク」を迎える。2升(20合)炊きのジャーは米で満ち、テーブルには各種おかずと弁当パックが所狭しと並ぶ。

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

東京都北区、JR赤羽駅から歩いて5分ほどのカフェ「ソーシャルコミュニティ めぐりや」は、1月に緊急事態宣言が発令されてから毎晩、無料のお弁当をつくり続けている。

店先に順次並べられる40個ほどの弁当や防寒具、カイロなどは気がつくとなくなっており、見えづらいホームレスの人や生活困窮者の姿を可視化している。

無料弁当を通じて、顔見知りになった「常連」の中には、支援者とつながり、ホームレス生活を抜ける見通しが立った人も出てきた。

「困っている人は固定じゃない。緊急事態宣言が明ければ、今度はうちが困るかもしれない。やれる人がやれるときにやる。お互い様という気持ちが大事なのかなと思います」(店長)

“共助の最前線”を取材した。

きっかけは元ホームレスの女性客

めぐりやではもともと、2020年6月から月1回、おにぎりをつくって、近隣の赤羽公園付近で寝泊まりするホームレスの人たちに配っている。

めぐりやではカフェ営業のほか、野菜の販売などもおこなっている(写真:弁護士ドットコム編集部)

店長の橋本弥寿子さん(68歳)によると、きっかけは1、2年前から野菜などを買いに訪れるようになった90歳手前の元ホームレスの女性。店の常連からは、“ばあちゃん”と呼ばれて慕われている。

「ばあちゃんは面倒見がよくて、公園に住んでいる人たちに、食べ物を届けたり、自転車カバーを縫ってあげたりしているんです。

『いつか店で炊き出しをやりたいね』という話をしていて。いきなりは難しいから、TENOHASIさんが池袋でやっている炊き出し会に話を聞きにいったんです」(弥寿子さん)

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