幸福な国「フィンランド」と日本の決定的な差 我慢強さは日本人と共通点があるとされるが

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出過ぎず、我慢強いフィンランド人と日本人、と共通点はありますが、一方で日本と違いを感じるところもあります。最も大きいのは、「人と人との結びつきの強さ」かもしれません。フィンランドは家と家が離れているうえ、人口も少ないのでコミュニティーセンターと呼ぶ人々が集まれる場所があります。そこには図書館やサウナ、プールなどが併設されています。

冬のフィンランドの日照時間は短く、太陽そのものが顔を出すことはほとんどありません。雲の上にまた雲があるような暗くてどんよりとした灰色の空の短い昼間で、日本人の私からしてみたら、気分的にとても憂鬱になるだけでなく、孤独感、閉塞感を感じるであろうと想像します。

そんな時に、フィンランドの人々はコミュニティーセンターに出向き、そこで知り合いに会ってサウナや図書館で会話を適度に楽しむほか、フェイスブックなどSNSを通じて同じ趣味を持つ友人を作って会ったりするわけです。コロナ禍でフィンランドでも約6割の人がリモートワークをしているそうですが、なかなか大勢の人と会えない中でも、可能な範囲内で人とのつながりを保っているわけです。

「人や社会とのつながりが希薄」な日本

余談ですが、コミュニティーセンターには「読書犬」という認定された犬がいます。読書犬は子どもたちが本を読み聞かせする”相手”で、子どもたちが本を読んでくれるのを静かに、忍耐強く聞いています。子どもたちは嫌々読書をさせられるのではなく、読書犬のために本を読んであげたくて読書をするのです。知らないうちに子どもたちの語彙力が高まり、読書好きになる非常に画期的な取り組みです。

冒頭の国連による幸福度ランキングでは、フィンランドが4年連続でトップを獲得しているのに対して、日本は56位となっています(昨年は62位)。日本の場合、「寛容さ」や「主観満足度」が低いうえ、「社会的資本(家族との家計や社会的ネットワーク、対人的な信頼感、組織への信頼感、社会参加の5要素)」が圧倒的に低いということです。つまり、他国に比べて「人や社会とのつながりが希薄」だと感じている人が多いということでしょう。

日本もフィンランドも他国と比較すると、新型コロナウイルスの感染者数や死者数は低い水準にありますが、これはどちらも我慢強い国民性が関係しているのかもしれません。

一方で、(コロナがなくとも)国民の感じる幸福度にこれだけ違いが出るということは、たとえ人数は多くなくても、日々の出来事などを語る仲間がいたり、自分が心地がよいと感じられる場所を確保することが重要だということではないでしょうか。

芳子 ビューエル アルトスター代表取締役、北欧流ワークライフデザイナー

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よしこ びゅーえる / Yoshiko Buell

アルトスター代表取締役、 アイデン代表取締役。ウェルビーイングアドバイザー、北欧流ワークライフデザイナー。1989年に創業したアペックスでは、働きながら子育てができる環境を整えることを推進。自身も3人の子供を育てながらM&Aも実現し、2020年の退任時点で、年商約44億円の企業に成長させた。

一方で1998年にJERTOから派遣されて以来北欧とゆかりが深く、デンマークのライフスタイル「ヒュッゲ」をいち早く日本に紹介。テレビや雑誌等でも、ヒュッゲの第一人者として日本での取り入れ方を紹介しているほか、「ウェルビーイングアドバイザー」としての活動も行う。

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