ドラッカーを知るには、論語を読め 安冨歩先生、新刊を語る

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ドラッカーを理解する一番の近道

―― ドラッカーも、論語も、なかなか難しくて、いつか読みたいけど手が出ない存在です。安冨先生は以前から親しまれていたのでしょうか?

 ドラッカーの思想と論語には、大学院生のころから影響を受けています。私は何十年もの長い時間をかけて、双方と対話を続け、それらが深く関係していることに気づきました。

―― この本を書こうと思ったきっかけは何でしょうか?

 現代日本の閉塞状況を打ち破るのが、ドラッカーと孔子の思想だ、と考えているからです。本書は、「もしドラッカーが『もしドラ』を読んだら」という話から始まっています。

 さらに、日本におけるドラッカー研究の第一人者であり、ドラッカーの著作の大半を翻訳した上田惇生氏の訳についても、問題提起をしています。

 なぜ、『もしドラ』が、三百万部近い大ベストセラーになったのか。それには深い理由があり、この理由を解明すると、ドラッカー思想の本当に重要な側面が姿を現します。しかもそれは、『論語』の思想と強く共鳴しているのです。そしてその思想は、現代日本の閉塞を打破する大変なパワーを持っています。それは一体、どういうことなのか。そのわけを知りたい方は、どうぞ、本書をお読みください。

撮影:今井康一

 ―― ドラッカーも論語も、どちらも難解だと思いますが、安冨先生は具体的にどのように理解を深めていったのでしょうか?

 その難解さの根源は、ものごとを単線的に理解しようとする、読む側の姿勢にあります。彼らは共に、フィードバックと学習とに基づく、循環的な回路、それを通じた人間の成長について語っています。そのことに気付けば、簡単なことしか言っていないのです。

―― 孔子とドラッカーは、実に2500年の時を隔てていますが、両者を比較して驚いたことや、印象的だったことはありますか?

 両者の思想を対比して読むことで、どちらもがより深く理解できるようになる、という経験を、何十年もしてきました。ドラッカーの概念を前提に論語を読むと、読めなかったところが読めるようになります。逆に、論語の言葉を前提にドラッカーを読むと、その本質が端的に浮き彫りになります。

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