高級菓子「たねや」が存亡危機を切り抜けた訳 コロナを革新と捉えた老舗の大胆な発想転換
三神:ネット通販向けの商品の売り方やレシピは同じ?
山本:商品が届いて開封したときにできたての味を食べられるように冷凍にする方法や、熟成させてからお届けし、届いたときが食べ頃という方法などを考案しました。現在、いろんな商品を開発中です。今後は、季節感を提供し、食べ方提案や食べ頃提案も表に出していきたいと考えています。
三神:通販の場合、無骨に段ボールで届くイメージがあります。老舗ブランドとして通販は後発組になりますが、箱や包装紙などの工夫はされましたか?
山本:われわれのお菓子らしさをアピールしようと考え、箱を開けた瞬間に、季節を感じられる工夫を考案しました。春は華やかさを感じられ、夏は涼しさを感じられます。
また、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の観点から資材にもこだわりながら、できる限り無駄のないような工夫をしています。
三神:おいしさだけでなく、気持が高まる経験も一緒に届けられますね。
山本:安心・安全は菓子業界では第一ですが、美容や健康も大事です。フローズンにすることで、できる限り糖分を入れずに、材料本来の風味を出していけます。
三神:通販を考えなかったら開発しなかったであろう商品がどんどん出てきそうですね。
山本:はい。職人にしか味わえないような新鮮な味をお届けできるというメリットが通販にはあると思います。
新しく開拓した販路の売り上げが半分も
三神:売り上げはどの程度回復しましたか。
山本:2020年6〜12月は前年同期比で90%から100%の間まで回復しました。
三神:新たに開拓した販路による売り上げの割合は、どのくらい占めていますか。
山本:50%は新しく開拓した販路による売り上げです。以前の販売方法のままでしたら、売り上げは頑張っても前年比60%ぐらいしか回復しなかったと思います。