「数学でつまずく人」が知らない日本語の使い方 数学の学びで極めて重要な「すべて」と「ある」

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関数f(x)について、xがaと異なりながらaに限りなく近づくとき、その近づき方がどのようなものであっても、f(x)の値がαに限りなく近づくならば、

x→aのときf(x)→α

と書いて、αをx→aのときのf(x)の極限値という。

次に、線形代数で重要な基礎概念に、ベクトルの「1次独立」と「1次従属」というものがある。この内容を理解していなければ、「次元」の内容は理解できない。そこで、1次独立と1次従属について、少し説明しよう。

3次元のベクトル(a,b,c)と(d,e,f)、および数rに関して、和とスカラー倍を次のように定める。
(a,b,c)+(d,e,f)=(a+d,b+e,c+f)
r (a,b,c)=(ra, rb, rc)
いま、3つのベクトル(1,2,3)と(0,1,1)と(2,1,0)に対して、
r(1,2,3)+s(0,1,1)+t(2,1,0)=(0,0,0)
ならば、rとsとtは3つとも「すべて」0になる(3元1次方程式を利用)。このような3つのベクトルの関係を1次独立といい、そうでない場合の関係を1次従属という。
たとえば、3つのベクトル(1,2,3)と(0,1,1)と(1,0,1)に対しては、
(r,s,t)=(0,0,0)
でない「ある」
r=1, s=-2, t=-1
に対しては、
r(1,2,3)+s(0,1,1)+t(1,0,1)= (0,0,0)
が成り立つ。それゆえ、それら3つのベクトルは1次従属である。

数学科に入学した学生は、初年次教育でつまずくことがよくある。そのほとんどが、高校まで計算中心でいい成績を収めてきたものの、「すべて」と「ある」などを用いた証明文がネックとなっている。そのような学生に出会ったときは、次のような内容を指摘すると、理解が進むことがよくある。

・「すべての生徒は携帯をもっている」の否定文は「ある生徒は携帯をもっていない」
・「ある生徒の身長は190cm以上である」の否定文は「すべての生徒の身長は190cm未満である」
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