日本でユニコーン企業が「7社だけ」の根本原因

米国や中国にはそれぞれ200社以上存在するが

ユニコーン企業とは、市場価値10億ドル以上で、起業してから10年以内、未上場の企業を指す言葉です。創業から日が浅いにもかかわらず市場から高い評価を得ているスタートアップ企業を、伝説上の生き物になぞらえてこのように呼んでいます。

現在中国には、「滴滴出行(DiDi)」、「螞蟻金服(アント・フィナンシャル)」、「TikTok」を運営する「バイトダンス」など200を超えるユニコーン企業があります。一方、日本のユニコーン企業は、2020年時点で、ディープラーニング技術の「Preferred Networks」やニュースアプリの「スマートニュース」など7社です。

この違いはどこから生まれるのでしょうか。

起業における日中の「決定的な差」

ユニコーン企業が生まれるための必要条件は「市場×人材×資金×軌道修正力」です。中国は膨大な人口母数のおかげで、世界各国と比べても有利な市場環境と多くの起業家人材を持っています。また、高い成長性を狙って近年国内資本だけでなく海外投資家の資金が流入しており、中国のベンチャー企業の成長を後押ししています。日本からもソフトバンク・ビジョン・ファンドなどが数多くの投資を行っています。

しかし、起業における日中の決定的な違いは、「軌道修正力」にあると私は考えています。

軌道修正力とは、試行錯誤を繰り返しながらよりよい方向に事業を導いていく力のことです。状況によって臨機応変に戦略を変えるフットワークの軽さと言ってもいいでしょう。

たとえば、中国のベンチャー企業は、まずアプリなどのサービスをつくり、ユーザーを増やしてから収益を上げる方法を考えます。ビジネスは「客数×客単価×利用頻度」ですから、新たなサービスを加えながらすべてを底上げしていくという考え方をします。とにかくさまざまな機能やサービスをリリースし、うまくいったものだけを残していくという考え方。「走りながら考える」と言ってもいいでしょう。

一方、多くの日本のベンチャー企業は、事業計画を綿密に立て、マーケティングを行うなど、準備に多くの時間を使ってから事業を開始します。これは、成功の確率を上げるためですが、スタートの段階で戦略やビジネスモデルががっちりとかたまっているため、新機能や新サービスを矢継ぎ早にリリースしたり、うまくいかなかった場合、ビジネスモデルを転換したりすることが難しくなるというデメリットがあります。

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