コロナ禍で加速する「学校制服」の自由な選択

家計負担の軽減など費用面でのメリットも

問題は、制服も校則も「所与のもの」として扱われ、生徒や教員、保護者など当事者が選んだり、合意のプロセスを経ていない点だ。多くの教員は異動した学校の制服や校則を「そういうもの」として受け入れ、生徒や保護者も、公立の小中学校であれば選択肢がない。

「一方、その制服や校則を成立させるためには非常なコストがかかっています。その点がこれまで見落とされてきました。一見、ささいに見える校則の違いが家計に影響します」(同)

例えば、靴下の色の指定が白なのか黒なのかによって、コストは変わる。汚れの目立ちやすい白では頻繁に買い替えが必要だ。靴下のワンポイント指定の有無も大きい。学校の指定品では1足千円するものも。福嶋さんは次のように話す。

「下着の色を白と指定している学校もあります。生徒への検査自体が人権侵害ですが、下着の好みは人によって違う。白が好きでない子は、学校用の下着をわざわざ買わないといけません。それほどのコストをかけてまで、その校則は維持しないといけないものでしょうか? コストが適正か、保護者も交えた校則の定期的な見直しが不可欠です」

学校運営に生徒参加を

1月28日、若者の声を政策に反映させる「日本若者協議会」は、文科省に校則についての提言書を提出。「校則の改正プロセス明文化」「学校運営への生徒参加」など9点を要望した。代表で慶應義塾大学大学院2年の室橋祐貴さん(32)はこう話す。

「制服や校則に法的な根拠はありません。『たまたま理解のある校長や教員のいる学校なので変えられた』というのではなく、どこの学校でも生徒、教員、保護者の3者で民主的に見直しができる仕組み作りが重要です」

同協議会では、高校生と大学生による「学校内民主主義を考える検討会議」を立ち上げ、2020年11月にアンケートを実施。「児童や生徒が声を上げて学校が変わると思うか?」の質問に対し、回答した生徒や学生779人のうち約7割が「(どちらかというと)そう思わない」と否定的だった。

「日本の若者は政治への関心は低くないが、『自分の参加により社会を変えられるかもしれない』という意識が他国に比べ著しく低い。学校生活の中で経験がなかったり、試みたものの学校に取り合ってもらえなかったりといったことが背景にあることが、アンケートからも明らかになりました。健全で民主的な社会を築いていくためにも改善が不可欠です」(室橋さん)

生徒ががんじがらめに管理されるのでなく、風通しのいい環境のなか主体性を持って、教員、保護者と制服や校則を見直すプロセスを経験する。それこそが、生きた教育になるのではないだろうか。

(編集部・石田かおる)

※AERA 2021年3月15日号

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