少子化でも「ランドセル」売上高が拡大の必然 コロナ禍で気軽に試せるレンタルの登場も
桜開花の情報が連日、各地から伝わってきている。まもなく入学式シーズン。新1年生が元気に登校するシーンが見られそうだ。そんなピッカピカの1年生が背負うランドセルの世界が、コロナ禍と少子化の影響で大きく変貌している。
まずはランドセルを取り巻く環境を見てみよう。2020年度の新1年生の児童数は101万8315人(文部科学省・学校基本調査)。1955年の約250万人に比べ4割の水準にまで減っている。この20年間をみても2001年度は約123万人だったから、2割近い減少だ。
一方、出荷状況はどうなっているか。経済産業省の工業統計によると、「なめし革製書類入かばん・学生かばん・ランドセル」の全国出荷数は155万4580個で、金額ベースでは約258億円、事業所数は61(2018年)となっている。都道府県別の上位は次の通り。
②東京都 21万8096個 36億2900万円 8事業所
③愛知県 13万3976個 19億0200万円 10事業所
④大阪府 12万1147個 14億9900万円 8事業所
⑤茨城県 4万0174個 1億0200万円 4事業所
もっとも、このデータはランドセル以外も含まれているのであくまで参考ということだが、データが公表されている中では日本を代表するかばん製造県、兵庫県が断トツである(事業所が少ない都道府県のデータは非公表)。
祖父母も孫にランドセルを買う
ランドセルの市場規模は、ニッセイ基礎研究所の調べによると、1年生の児童数が約120万人だった2006年は359億円だった。児童数が約106万人まで減少した2018年はというと、なんと546億円へと約1.5倍に拡大しているのだ。少子化が進むなか、両親だけでなく祖父母が孫にお金を注ぎ込むこと(いわゆる6ポケット)で、購入価格が高額化したためとみられている。
これはランドセル工業会の「ランドセル購入に関する調査」をみても歴然だ。購入金額の平均は2018年5万1300円、2019年5万2300円、そしてコロナ禍の2020年でも5万3600円と上昇の一途である。2020年の新1年生総数101万8315人、平均購入金額が5万3600円で計算すると、市場規模は545億8000万円余りとなる。あくまで1人1個を前提とした単純計算だが、シンクタンクの試算に近い数字が弾き出される。
もっとも、この状況が今後も続くかどうかは、コロナ禍長期化の経済影響、両親や高齢者の経済状況、個人の意識変化なども考慮すると流動的と言わざるをえないだろう。
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