少子化でも「ランドセル」売上高が拡大の必然 コロナ禍で気軽に試せるレンタルの登場も

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香港と台湾に大人鞄製品の専門店(自社店舗)を出店し、その一部でランドセルを取り扱っている土屋鞄製造所は、2020年7月から自社越境ECでランドセル販売を開始した。

「すでに店舗のある香港、台湾だけでなく、アメリカ、カナダ、シンガポールでも注文があります。昨年10月からは中国越境ECでも展開を始めました」(同社担当者)。

土屋鞄製造所のランドセル(写真:土屋鞄製造所提供)

海外客の反応は「作りの精巧さ、品質がすばらしい」など上々。子どもや孫へのプレゼントとしてはもちろん、本人が使用するために購入する客もいる。購入客のほとんどは現地の人だという。

海外マーケットをどこまで拡充していけるかが大きなポイントになりそうだ。

事業多角化の取り組みにも積極的

もうひとつの打開策が事業多角化の推進だ。2019年に創業100周年を迎えたセイバンは、次の100年に向けた事業の柱として、海外展開と事業の多角化を掲げている。同社は昨年11月に「MONOLITH」というブランドを立ち上げ、ビジネスバッグ市場に参入。ビジネスバッグはバックパック、2WAYバッグ、トートバッグ、ショルダーバッグの4タイプだ。泉貴章社長は新ブランド立ち上げに際して「近い将来『MONOLITH』事業をランドセル事業に次ぐ当社の事業の柱として育てていきたい」と意気込みを語っていた。

さらに、セイバンは2018年に子ども服のファミリアと組んで保育事業を行う新会社を設立し、familiar PRESCHOOLも運営している。

130年の歴史を紡いできたランドセル。明治20年に、のちの大正天皇の学習院ご入学祝いに、伊藤博文が箱型の通学鞄を献上したというエピソードがあり、「これが、ランドセルの始まりだとされています」(ランドセル工業会のHP)という。日本独自の文化ともいえるランドセルだが、取り巻く経営環境はいま、大きな岐路に立たされている。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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