「高齢社員を教育係にした」ある会社の大失態

「定年70歳」時代に企業が直面する不利益の正体

「働かないオジサン」問題は、今後さらに深刻化しそうです(写真:mits/PIXTA)

改正・高年齢者雇用安定法が4月1日から施行され、現在65歳と定められている定年や再雇用制度の期限を70歳に引き上げる努力義務が企業に課せられます。

そこでクローズアップされるのが、いわゆる「働かないオジサン」問題。働かないオジサンの明確な定義はありませんが、仮に55歳から業務のパフォーマンスが低下するとすれば、今回の法改正で働かない期間が10年から15年に伸び、働かないオジサンの増加も避けられない事態です。

働かないオジサンについては最近、職場での行動実態や同僚の反応などを面白おかしく、皮肉交じりに紹介する報道が増えています。その一方、働かないオジサンへの経営者や人事部門の対応は、大きな課題になっている割にあまり議論されていません。

今回は、人事部門の関係者へのアンケートとヒアリングを元に、企業が高齢社員にどう対応するべきかを考えてみましょう。

高齢社員は問題、法改正への対応は「未定」

2月下旬に大手・中堅企業の人事部門の責任者・マネジャー26名にアンケートを実施し、うち5名に3月上旬にヒアリングしました。

まず、「高齢社員の増加が問題になっていますか?」という質問に対し、以下の回答でした。

「問題になっている」19社
「問題になっていない」4社
「わからない」3社

やはり多くの企業で高齢社員が問題になっているようです。

「問題になっていない」と回答した電機メーカーの人事部長にヒアリングしたところ、「当社では12年前に成果主義を導入し、働きに見合った賃金になっています。また早期退職を募集し、高齢社員がかなり減っています。高齢社員には不満もあるでしょうが、会社としては高齢社員の増加がさほどコストアップになるわけではなく、大きな問題とは認識していません」ということでした。

次に、「問題になっている」と回答した19社に「どういうことが問題になっていますか?」と質問しました。多い順に以下の回答でした(複数回答、上位5つ)。

「生産性の低下」13社
「賃金コストの上昇」12社
「職場の活性度の低下」9社
「人事異動の停滞(出向・転籍を含む)」9社
「高齢社員のモチベーション低下」6社

今回、人事部門の関係者に調査したので、「賃金コストの上昇」がダントツで最多だろうと予想していましたが、「生産性の低下」が最多で、やや意外な結果でした。

次ページ某社員「高齢者員に合った仕事を用意するのは難しい」
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 若者のための経済学
  • インフレが日本を救う
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
世界の投資マネーが殺到<br>沸騰! 医療テックベンチャー

2020年に世界の医療関連ベンチャーの調達額は465億ドルと過去最高を記録。10年間で5倍に膨張し、米グーグルやアマゾン、アップル、さらには中国の巨大IT企業もこぞって進出中です。国内の有望スタートアップ21社も掲載した必読の最新ガイド。

東洋経済education×ICT