日本は尖閣諸島周辺で中国海警にどう備えるか

企図する戦略を読み取り、事態を微細に想定せよ

日本は中国にどう対処するのか(写真:butenkow/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

中国海警法とは

中国海警法の制定により、中国海警がいかなる機関で、いかなる活動を行うことができて、今後いかなる活動をしていくのかが明確となった。日本は、尖閣諸島周辺海域での中国海警の活動に対して、国際社会がこれまで積み上げてきた法規範をふまえながら、適切かつ実効的に対処できるように備えていく必要がある。

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沖縄県の尖閣諸島周辺海域において中国海警船による領海への侵入と接続水域における航行が常態化している。昨年から本年にかけて中国海警船の日本漁船に対する接近も複数回発生している。今後、中国海警の隊員が尖閣諸島へ上陸する可能性もある。日本はこのような事態にどのように対処すべきか。

まず、日本が尖閣諸島周辺海域で対峙している中国海警がどのような機関であるのかについて、2021年2月1日に施行となった中国海警法をふまえて整理したうえで、今後の日本の事態対処のあり方について述べることにしたい。

中国海警法は行政法理論でいう組織法と作用法の双方の性格を有する法律である。中国海警がどのような機関で、どのような権限行使を行うことができるかについて規定している。

中国海警法の適用範囲は「中華人民共和国の管轄海域」(3条)である。この中国管轄海域が地理的にどこまでの広がりを有する海域なのか、国連海洋法条約が沿岸国に主権や管轄権を認めている内水、領海、排他的経済水域および大陸棚までの海域であるのか、それとも、これらの海域を越えて中国が独自に主張している海域も含まれるのか、条文からは明らかではない。

ただ、草案段階では中国管轄海域を「中華人民共和国の内水、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚および中華人民共和国が管轄するその他の海域」(草案74条(2))と定義していた。この定義からは中国が国連海洋法条約を離れて独自の海域主張を行っていることがわかる。

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