草なぎ剛が語る「終わりの美学」を演じる意義 徳川慶喜だけではない全ての人に通ずるテーマ
「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一と、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜。先月14日から放送が開始されたNHK大河ドラマ「青天を衝け」の序盤では、若かりし頃の2人の人生を軸に、江戸後期から幕末に至るまでの物語が描かれる予定だ。
草なぎ剛(以下、草なぎ):今は徳川最後の将軍という大役を演じられるうれしさ半分、緊張が半分という感じですね。僕は歴史に詳しくないので、「慶喜役です」と言われても、正直、最初は全然ピンとこなかったんですよ。でも、台本や歴史の資料を読み進めるうちに、鎖国が終わって外国文化が流れ込んできた激動の時代に、国や人々の行く末を考えて行動した慶喜はすごくカッコいいなと思うようになりました。撮影が始まって、少しずつ自分の気持ちも昂っています。
身近に感じてほしい
──慶喜は、将軍職には消極的であった一方、「家康の再来」とうたわれるほど聡明な人物だったとも伝えられている。本作の制作統括を務める菓子浩は、「優秀だけど複雑で、何を考えているか読めない慶喜を演じるには、何よりもカリスマ性が必要」と考え、草なぎをキャスティングしたという。
草なぎ:カリスマ性ですか……。それは、キャスティングミスでは?(笑)。いや、そう言っていただけるのはとてもうれしいんですけどね!
ただ一方で僕は、慶喜をもっと身近に感じてもらいたいという思いもあるんです。将軍というと、すごく偉そうで、何の不自由もないイメージがあるかもしれませんが、慶喜はいろいろなしがらみの中で苦悩することも多かったと思うんですよ。それを観てくださる方に伝えられれば、もっと慶喜に共感して愛してもらえるんじゃないかな。