草なぎ剛が語る「終わりの美学」を演じる意義 徳川慶喜だけではない全ての人に通ずるテーマ
草なぎ:堤さんとは共演する機会が多いので、「機嫌を損ねないようにしないとなー」って思っています。実際は余計なこと言って怒られてばっかりなんですけどね(笑)。堤さんは、貫禄がすごいんですよ。でも、芝居の中では、僕が将軍で、堤さんは家臣で、僕のほうが偉いわけでしょう? だからオーラにのまれないようにしないといけないなって。演技しているときはつねに背筋を伸ばして、堂々として見えるように頑張っています!
「100%」を求めない
──撮影で大変なこととして、「せりふが長くて、言い回しが難しい」ことを挙げた。これまで仕事で壁にぶつかったときは、どのようにして克服してきたのだろうか。
草なぎ:うーん……しかたがないと思うしかないですよね(笑)。努力は必要だと思いますけど、失敗にとらわれていると、どんどんネガティブになってしまうから、「100%うまくいくことなんてない」って、最初から僕は思っているわけです。完璧を求めないことで心が楽になって、逆に物事がうまく進んでいったことって、これまでにも結構あったので。計画にとらわれすぎないほうが、いい結果が出るんじゃないかな。
──大河の撮影が進む一方で、今月6日には、主演ドラマ「ペペロンチーノ」が放送される。草なぎが演じるのは、東日本大震災による津波でレストランを失ったイタリアンシェフだ。被災者たちの「その後」の喪失と再生の物語が描かれている。
草なぎ:東日本大震災当時、僕はドラマの撮影で地方にいたんですけど、ニュースで震災の被害を知ってすごくショックを受けたことを覚えています。それから何度か被災地を慰問させていただいたのですが、今回の撮影で宮城県を訪れたときも、まだ被災当時から手つかずのまま残されている場所があって驚きました。その一方で、大きな被害を受けた場所でも、今はたくさんのお店ができて人のにぎわいが戻ってきたところもあるんです。一口に「復興」と言っても、地域差があるんですね。