金儲けがうまい人に知ってほしい「伝説の講演」 思想家・内村鑑三が若者に説いた言葉の重み

実業家が何人いても日本の役に立たない
事業をするのに、清らかな目的をもって財産をつくる人が出てこなければ、私たちの国に、本当の実業家がいないのと同じです。こういう目的の実業家でなければ、実業家が何人いても、国のためにはなりません。
憲法(大日本帝国憲法のこと)発布の際に貧困者200人に1万円……1人あたり、せいぜい50銭か60銭くらいのお金を配った人もいたようですが、そんな中途半端な慈善はしない方がかえっていいくらいです。
三菱財閥の岩崎弥太郎のような、何千万円という財産家は、もしかしたら、今後、慈善事業をするかもしれませんが、これまで社会的に大きな力を手に入れ、立派な家と別荘を建てたものの、日本の社会はそれによって何一つ恩恵を受けていません。
しかし、今の日本で、キリスト教徒が世の中に出て、実業家になって、財産を築き、自分のためでなく、神の正しい道、宇宙の正しい法則にしたがって富を国家のために使うのだとしたら、そういう形で、本当の実業の精神が生まれたことになる、そうあってほしいと私は願っています。
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