コロナ禍こそ物流に巨額投資しないとヤバい訳 加速する消費者の変化に対応できないリスク

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DX(デジタルトランスフォーメーション)やSPA(製造小売業)、メーカー直販などを通じて、生産者と消費者のつながりが強くなっているのも、昨今における流通の変化です。これにより、物流にも変化が迫られています。むしろ、物流がボトルネックになっていて、物流が変わらないと流通が変わらないというのが本音です。

この場合、BtoBとBtoCの在庫を一元管理してセンター運営しようと考える流通会社は多いのですが、これはよくある失敗パターンです。むしろ、それぞれ別の物流センターで運営したほうがうまくいきます。

ユニクロが起こしたありえないミス

一時期、ユニクロも一元運営をしていましたが、そのときにオンラインで服を購入したら届くのに1週間かかり、かつ商品も間違っていました。そんな、ありえないミスが起こりうるのです。

なぜかというと、両者では伝票枚数、行数、ピース数、荷姿といった「物流形態」が大きく異なるからです。BtoBは伝票枚数が多くて一注文に対する行数も多くなりますが、BtoCはそうではありません。

アパレルであれば、畳まれたものかハンガーで吊ったものなどで荷姿も変わります。別の流通形態なのに同じ場所で作業をすると混乱し、それが遅延やミスにつながるのです。例えば、関東に店舗が集中しているなら大きな拠点を1つ持つ、個人向け通販は高い運賃がかかるので物流拠点を散らばらせることが考えられます。

このように、いまは物流を変えないと流通も変われない時代です。特に今後はオムニチャンネルが出てきて、タイムワープはさらに加速します。物流がボトルネックになり流通が変わることができず、売り上げが立ちません。アリババ創業者のマー氏がそうしたように、巨額の投資をして変革させる頃合いだと思います。

(構成:大正谷成晴)

角井 亮一 イー・ロジット取締役会長兼チーフコンサルタント

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かくい りょういち / Ryoichi Kakui

1968年生まれ。上智大学経済学部経済学科を、3年で単位取得終了し、渡米。ゴールデンゲート大学マーケティング専攻でMBA取得。帰国後、船井総合研究所に入社。2000年に通販専門物流代行会社である当社を設立、代表取締役就任。著書に「物流革命2020」(日本経済新聞社)「日経文庫 物流がわかる<第2版>」「すごい物流戦略」(PHP新書)など

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