日米同盟が試された3.11直後の知られざる実際 細野豪志氏×磯部晃一氏対談(後編)

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3.11で原発事故が起きた際に開催された日米合同調整会議。日本側の代表を務めた衆議院議員の細野豪志氏と自衛隊を代表してこの会議に参加した磯部晃一氏が当時の体験について語り合った(写真左より細野豪志氏、磯部晃一氏)
日本の外交の基軸である日米同盟。3.11で原発事故が起きた際、同盟国であるアメリカが日本に手厚い支援を行ったことをご存じの方も多いのではないだろうか。当初、日本側の方針が定まらず、アメリカはそれに厳しい視線を向けたが、その状況を改善するために開催されたのが、日米合同調整会議だった。
その日本側の代表を務めた衆議院議員の細野豪志氏と、自衛隊を代表してこの会議に参加した磯部晃一氏がに続き、語り合った。
その日本側の代表を務めたのが衆議院議員の細野豪志氏。そして、自衛隊を代表してこの会議に参加したのが磯部晃一氏だった。2人が今振り返って語ることとは?
前編記事に続き、細野氏の新刊『東電福島原発事故 自己調査報告 深層証言&福島復興提言:2011+10』から抜粋して掲載する。

日米合同会議の始まり

細野豪志(以下、細野):前編記事で、東日本大震災のとき、現場の混乱をどう乗り越えたかという話をしました。そうした中、始まったのが日米合同調整会議で、3月21日に正式にスタートしました。その前に、私もあるときからうすうす気付いていましたが、防衛省の中で日米の調整会議が行われていたわけですよね。磯部さんは参加されていましたか。

磯部晃一(以下、磯部):これはたしか最初は16日だったと思いますが、防衛政策局長のところで日米の関係者が集まったんですね。

細野:髙見澤將林さんですね。後の日米合同調整会議の防衛省の背広組のトップですよね。

磯部:16日の9時から原子力災害対策チーム会議という仮称で始めたんです。

細野:実はこれは、菅直人総理は知らなかった。

磯部:官邸にはこういう会議をしているということはメール等で報告はしていましたが、菅総理はご存じなかったようです、当時の関係者に聞くと。

細野:私はNRC(アメリカ原子力規制委員会)のチャールズ・カストー氏が来日した16日頃からアメリカ側と接触し、18日には長島昭久議員の仲介で(ジョン・V)ルース駐日アメリカ大使も含めて、関係者で会議をやっていましたが、そこで強く感じたのは、アメリカ側の強烈なフラストレーションでした。

ちょうど放水作業をやっている真っ最中だったのですが、実際に何が起こっているのかが彼らにはわからない。これでは、アメリカ人を守れないという思いもあったかもしれない。それを解消しなければいけないと強く思っていました。ちなみに、その時にやっていた防衛省の会議はどういう中身だったんですか。

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