傲慢で自信過剰な中国は、大きな勘違いをしている--ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授

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 米中関係が再び悪化し始めている。中国は、台湾への武器売却とダライ・ラマのホワイトハウス訪問に反対していた。ところが、オバマ米大統領が中国の反対を無視したことで、中国側は「オバマ大統領に裏切られた」と感じている。

事態がこうした展開になるとは、予想されていなかった。1年前、オバマ政権は中国との協力関係を確立するために多大な努力を重ねた。クリントン国務長官は「両国は同じ船に乗っており、共に繁栄し、共に衰退する」と語り、ガイトナー財務長官も、「どの国よりも中国と頻繁に協議を行う」と述べていた。

米中の“G2体制”が成立したという声さえあった。だがG2という発想は愚かな考え方である。欧州経済は米中両国の経済よりも大きいし、日本経済も中国とほぼ同規模である。国際問題を解決するためには欧州と日本の参画は不可欠である。

ただ、米中関係の悪化は、台湾への武器輸出やダライ・ラマ問題が起こる前から始まっていた。たとえば米国の議員は、「中国が為替介入により人民元レートを低く維持しているために、米国の雇用が失われている」と批判していた。

二つ目の問題は、昨年12月にコペンハーゲンで開かれた国連のCOP15で中国が交渉に協力しなかったことだ。中国は、1年かけて交渉が行われてきた温暖化対策に反対しただけでなく、温家宝首相は会合に高官を派遣せず、オバマ大統領を名指しで非難した。これは米国にとって侮辱的な行為であった。

また、国連常任理事国5カ国とドイツが、国際原子力機関(IAEA)の義務に違反しているとしてイラン制裁問題を協議するために集まったときも、中国は非協力的な態度を取り、高官の派遣を見送った。

オバマ政権発足当初に見られたポジティブな兆候は、どこへ行ってしまったのだろうか。

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