「外交と安全保障」に安倍内閣が残したレガシー 「安保法制」「戦後70年談話」「FOIP」という成果 

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あわせて、戦時中のいわゆる徴用工に対する補償問題が蒸し返され、韓国の裁判所は請求権を認める判決を下している。

しかし、徴用工の請求権は1965年の日韓基本条約において、明示的に、解決されている。韓国の政策は、従来の基本的合意を一方的に変更するもので、日本としては受け入れることができない。これは日本では、野党もメディアも一致するところである。外交安全保障上、隣国との関係が順調でないのは遺憾なことであるが、すべては韓国の責任である。

その後、慰安婦問題で影響力を持っていた団体が、資金の不正使用をしてきたことが明らかになっており、また事実に即した研究も少しずつ増えてきていて、いわゆる慰安婦問題はやや下火になっている。しかし、韓国でまた火が付く可能性はないとは言えない。中国とアメリカとの関係が厳しくなっている現在、なお懸念の残る問題である。

自由で開かれたインド太平洋(FOIP)

TPP11

TPPは2005年に結ばれたシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドによる環太平洋戦略的経済連携協定に始まる。

これに2008年、日米などが協議に参加し、2015年10月、上記4カ国に、オーストラリア、カナダ、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、アメリカ、ベトナムが加わった12カ国が、環太平洋パートナーシップ(TPP)の締結について、大筋合意に至り、翌2016年2月、署名するに至った。これは高い水準の野心的、包括的な経済連携協定で、事実上は中国に対抗する意味を持つものと思われていた。

2017年1月、トランプ大統領は、政権発足と同時にTPPからの脱退を宣言した。しかし残り11カ国は内容を修正して新たな協定(TPP11)を締結し、2018年末、協定は発効した。このTPP11を実現するにあたって、安倍首相のリーダーシップは大きかった。

FOIPの提唱

2016年8月には、安倍首相はケニアのナイロビで開かれたTICADⅥ(第6回アフリカ開発会議)において、自由で開かれたインド太平洋戦略(FOIP、のちに自由で開かれたインド太平洋「構想」と言い換えている)を提唱した。

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