JAL企業年金大幅削減の余波--「対岸の火事」どころか「類焼」が続出か

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対岸の火事どころか、自分の敷地に火の手が上がっている。少なくても三菱重工業の現役社員と一部OBにはそうした事態だが、三菱重工業以外の企業にも飛び火するのは確実。過去勤務債務の積み立て不足に陥っている大企業は少なくないからだ。

下手をすると、各企業が軒並みに企業年金カットに動くという最悪の事態が起こりかねない。日本の経営者は、ひどいことに横並び体質であり、“みんなで渡れば怖くない”と安易に企業年金削減に走る可能性がある。

JALがターニングポイント

JAL問題が世間から注目を集めたのは、現役社員のみならずOBまで広げて企業年金を削減したことが一つの大きな要因だった。JAL問題の余波で、多くの企業が現役社員、OBの企業年金削減に傾くのではないかと見られていたが、それが現実になる気配だ。

「いまの企業年金制度は、右肩上がりを前提として作られており、安定的な継続性は崩壊している。長期の不況が、いまの企業年金制度を崩壊させており、見直しは避けられない」。企業年金削減問題の専門家であるアンダーソン・毛利・友常法律事務所の沢崎敦一弁護士は語る。

これまでは、企業年金削減の動きでは、いくつか係争となり判決が下されている。

企業と企業年金を受給する側のOBを含む社員たちの係争では、裁判所は従来、削減に反対する判決を下してきたのが通例だった。

厚生労働省も同様で、例え現役社員たちの3分の2の了解を無理やりに取ってきた企業に対しても、簡単には削減認可を出さなかった。

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