今の若者は、野球監督よりコーチを目指す?

川崎憲次郎氏に聞く「若者論」(後編)

野球人口は減っているのに、なぜスターが出るのか

原田:今の若い選手の中からスーパースターがけっこう出てきているというのは、どう分析しますか。野球人気は減り、野球人口は減り、若者の数も減っている。それなのに、すごい選手がたくさん出てくるというのは、普通に考えたらおかしいですよね。

川崎:僕らの時代、野球が盛んだった時代というのは、小さいときから外を走り回って、何かにつけて野球を絡めて遊ぶっていうのが主流だったんですよ。でも、今の子は走り回る野原もない、公園があっても球技もできない。さらにサッカーやゲームも出てきて人も分散している。それなのに今でもすごいピッチャーや選手が出てきているというのは、みんな野球が好きだっていうのもあるだろうし、親の影響もあると思います。それにさっきも言いましたけど、おそらく本当に身体的に進化しているんじゃないかというのは、すごく感じるんですよ。

原田:なるほど、ひとつは身体能力が上がっているからと。ほかにありますか。

川崎:ほかになんかあるのかなあ。

原田:これはプロ野球の話だけじゃないんですけど、世の風潮では若者はダメになっていると言われて、大枠ではそれに反対意見はないんですよね。たとえば海外や車への興味が薄れている現状とか、何となく元気がなくなってきているとか。大枠でいうと正しいのは正しいのですけど、いろんな業界の上澄みを見ると、むしろ昔よりレベルが上がっているのではないかと思うんですよ。

たとえばビジネスの世界で言うと、リブセンスという会社の社長である村上太一さんは史上最年少で株式上場しましたが、これはある種の優れているという判断でいいと思うんです。フィギュアスケートだって、20年ぐらい前だったら、伊藤みどりの銀メダルが快挙だったじゃないですか。

川崎:確かに。そう見ればフィギュアもそうだし、ゴルフもそうだし。

原田:ビジネスの世界は特に経験値が大事だったりするので、まだそんなにスーパースターはいないですけど、たぶん、あと10年するとビジネスの世界でもスポーツと同じぐらい出てくると思うんですよ。「うわ、こんなやついた!」みたいな。

川崎:たぶんそういうのは、ビジネスもプロ野球も一緒ですよね。先人たちの経験が積まれて、下に伝えていくから、だんだん成長が早くなると思うんですよね。経験した人間がこうやればいいと教えている。それが野球なら選手はそのとおりにやって効率もよくなり、成長の期間が短くなっていってるんじゃないかと思うんですよ。

原田:そうなると監督、コーチの質も上がっているのですかね。

川崎:上がっているでしょう、やっぱり。

原田:上がってますか。

川崎:僕のことはわからないけど。たとえばここでバントをするとか、エンドランをかけるという戦略があると、それは経験や分析でデータとして出てくる。それを敵チームが読めるようになってきたら、また変えようとする。その策の練り合いみたいなのがあるんですけど、それも同じですよね。やっぱり研究をお互いしていくので、さらにそれで経験が積まれるじゃないですか。だから全体の成長の期間が縮まっていっているのではないかというのはありますね。

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