「知っている」と「できる」の決定的な違い
原田:あと、野球選手がどれだけ活用しているかわからないですけど、昔と大きく違うのはやっぱりインターネット。
川崎:今の子どもたちも情報量がものすごいんですよ。小学生に「こういうときはこうやれよ」って教えたら「あ、知ってます」って言うから。
原田:それ、カクってきません?(笑)
川崎:いやいや、「じゃあやってみな」って言うと、できないんですよね。要するに頭ではわかっていても、身体はわかっていないわけですよ。それは動かないとわからないわけで。やっぱり動けるかどうか、それが続くかどうかっていうのがものすごくオーソドックスなのだけど重要だと思いますね。
原田:たとえば今の若い子たちは、海外に行かなくなっているんです。なんで行かないんだって聞いたら「情報があります」と。まさに子どもの「知ってます」と同じですよ。
若い子たちは携帯で「NAVERまとめ」とか見ているんですけど、そこで「世界で一番美しい絶景」とか「ハワイの○○」とか特集されているわけですよ。見てみたら、確かに写真も載っているし、見たからわざわざおカネ出して行かなくてもいいかっていう気になっちゃうようなんです。頭でっかちになって、行くという行動をしなくなっている。情報は増えているんですけど、行動力は減ってきているっていうのが、僕が一般の若者と接してすごく感じることです。さっきの自発性の話ともつながってくるかもしれないですね。
川崎:そう考えると情報過多って言うのも、あんまりよくないね。
原田:そうかもしれないですね。
川崎:あんまり多すぎても行動力がそがれちゃう。むしろちょっと知らないとか、ちょっと知っているとか、そのあんばいが難しいけど、そっちのほうがね。
原田:優秀な子たちはもう少しうまく、たとえばリアルな先輩から聞いた話もひとつの情報、インターネットのサイトもひとつの情報というふうに、うまくかいつまんで整理していると思うんです。でも、多くの子たちは多分、情報におぼれちゃっている。プロ野球の世界でもそういうイメージなんですかね。
川崎:プロの場合はもちろんいろいろな情報を集めますけど、僕らは体動かしてなんぼですからね。投げる、打つ、走る、いろいろな要素があるけど、頭で考えて走った気になったらアウトになりますから。
なんでもそうだと思うけど、とにかく動かないとわからない、経験しないといけない、と僕は本当にそう思うんですよね。選手にも言っていますが、特に迷ったとき、考えても解決しないのだったら、じゃあ動けと。動いて自分で経験して、どこがいいとか悪いとか簡単にはわからないかもしれないけど必ず出てくるはずだから、そこをどうやって自分なりにうまくいくように持って行くか。それは本当に自分も経験上そうだったんですよね。
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