ワクチン「接種した人・まだの人」に生じる問題

国民半数が1回目接種済みのイスラエルの今

「ワクチン接種を済ませた人は利用できる。接種を済ませていない人については、他人を危険にさらすことになるので利用を許すわけにはいかない」(ラズ氏)というわけだ。

だが、ワクチン接種は個人の自主性に任されており、全員が接種を急いでいるわけではない。

コンサートやレストランに出かけるといった不要不急の活動は「個人の選択」として片付けることもできなくはない。しかし、雇用主や労働者の権利となると、問題の重みが違ってくるし、妥協点を見いだすのも難しい。

最大の問題は「政策の不在」

中でも目立った争点になっているのが、教員の権利だ。対面授業が一部再開となる中で、1回目の接種を受けていない教員の割合は今も4人に1人を超える。このため、接種年齢に達していない16歳未満の生徒が危険にさらされる恐れがある、といった批判が出ている。接種を避けている人々は、医療従事者の中にもいる。

何人かの市長が、未接種の教員による教室への立ち入りを禁じると圧力を加えたのに対し、イスラエルの司法副長官は、現行の法律では市長らにそのような権限はないと明言した。

とはいえ、イスラエル人権協会と労働者ホットラインという2つの人権団体には、これ以外にも未接種の労働者からの相談が寄せられている。

「第1の問題は政策がないことだ」とイスラエル人権協会で市民・社会的権利問題を担当するギル・ガン=モル氏は言う。「政府の動きが遅く、民間の対策が度を超すようになっている」。

個人の権利と社会的な利益をどうバランスさせるかについては、まだ落としどころが見えておらず、国会で幅広く議論する必要がある、と同氏は語った。

(執筆:Isabel Kershner記者)
(C)2021 The New York Times News Services

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