視聴率〇%のネット記事が的外れで無意味な訳 追い込まれたテレビがついに変わり始めた

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「ドラマ『〇〇〇』が初回視聴率11.2%スタート。2桁好発進」

「第2話は視聴率8.5%。前週の10.1%から1.6%ダウン」

「バラエティー『〇〇〇』が視聴率6%台連発で打ち切りの危機」

前述したように世帯視聴率があいまいなデータであるうえに、取引で使われている指標ではない以上、このような報道にほとんど意味はありません。また、録画やネット配信など、視聴環境や時代背景の違いも大きいだけに、過去との比較も意味はないでしょう。

まれに「世帯視聴率10.0%、個人視聴率6.0%」と個人視聴率(全年代)を併記するメディアも見かけますが、こちらは「変えていかなければ」という意思を多少は感じるものの、それでも記事の中心は世帯視聴率のままであり、十分とは言えません。

世帯視聴率報道は楽にPVが稼げる

現在、視聴率報道で適切と言えるのは、「個人視聴率の中でも、主に13~49歳(コア層などとも言います)が何%なのか」を報じるものだけ。それが6%以上であれば「好調」、10%を超えると「最高の結果」ということなのですが、このような報じ方をしているメディアは、まだほとんどいないのです。

では、なぜメディアはそのような意味のない報道をしてしまうのでしょうか。各メディアの人々も世帯視聴率を報じることが無意味化していることをまったくわかっていないわけではないでしょう。「そうなのだろうな」と思っていながらも、「楽にページビューが稼げるから」「コア層の個人視聴率がわからないから」などの理由で、世帯視聴率中心の記事を報じ続けているのです。

あるネットメディアの編集長にそのことを尋ねたとき、「個人視聴率では、まだ読者がピンと来ないので、現段階では世帯視聴率を使ったほうがわかりやすい」と言っていました。しかし、個人視聴率の理解が低ければ伝え、広げるのがメディアの役割であり、それをせずに古い指標を使い続けることに疑問を感じてしまいます。さらに、「世帯視聴率で高視聴率や低視聴率と書けばページビューを取りやすいからですよね?」と尋ねたところ、苦笑いしていましたが、まさにそれが本音だったのではないでしょうか。

とりわけ最も信用できないのは、タイトルや見出しに世帯視聴率を使っているメディア。記事の内容も、世帯視聴率と主なあらすじをコピペしただけの薄いものが多いことから、「理解不足の人が書いている」か「単なるページビュー狙い」のどちらかである様子が伝わってきます。

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