視聴率〇%のネット記事が的外れで無意味な訳 追い込まれたテレビがついに変わり始めた

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テレビ局は何かと批判を受けがちですが、古く巨大な業界ならではのしがらみに苦しみながらも、今ようやく変わろうとしていて、そのことはもっと評価されてもいい気がしています。

今後その変化を進めていくうえで必要なのは、既存の枠にとらわれない情報開示を積極的に行っていくこと。たとえば、「コア層の個人視聴率、録画視聴率、動画再生数、SNSのフォロワー数などをもっとメディアや個人に発信して番組の適正な価値を伝えていく」などの透明性の高い対応が求められているのではないでしょうか。一方のメディアは、ページビューの取れそうなものだけではなく、さまざまなデータをフェアに報じていく必要があるでしょう。

視聴者ファーストに変わればイメージも上がる

昨年10~12月、日本テレビはプライム・深夜帯の番組で、放送と同時のネット配信(「TVer」)にトライしました。もし自局の利益を優先させてコア層の個人視聴率だけを狙っているのなら、わざわざそれを減らすようなネットでの同時配信はしないでしょう、また、視聴者より自局の利益が目的なら「TVer」ではなく、「日テレ無料TADA!」や「Hulu」を使ったはずです。

これは「ネット中心の生活を送る人々にテレビのよさを知ってもらおう」「目先の数字だけではなく、近い将来の数字も作っていこう」という狙いの表れであり、「これからはネットCMでの広告収入が重要になっていく」という思いもあるでしょう。自局ファーストではなく、視聴者ファーストの戦略であり、民放各局が足並みをそろえることができれば、テレビ全体のイメージアップにつながるはずです。

いずれにしても、テレビ番組がネット記事におけるトップクラスのテーマとなっていることは間違いありません。だからこそ各メディアは、変わりはじめているテレビと同様に変わっていくことで、共存共栄していけるのではないでしょうか。

今回のコラムは、「自分もそうであってはいけない」という自戒の意味もこめて書きましたが、これを読んでくださったみなさんも、安易な視聴率報道に振り回されないようにしてほしいと願っています。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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