太田雄貴「スポーツ協会の補助金依存は問題」 フェンシング協会が考える新たなマネタイズ法
日本ではごく一部のプロスポーツを除いて、多くのスポーツ団体・協会が財政難を抱えている。その状況を打開するには一般への普及、そして競技人口の増加が不可欠だ。しかし、そのために何をするにせよ、やはり財政問題が立ちはだかる。今夏の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、採用種目に対する公的補助金や交付金は厚みを増したが、それは一時的なものにすぎない。
こうした中、団体や協会が抱える課題に、ユニークな視点から挑んでいるのが、フェンシングの世界で、オリンピック銀メダリストとして知られる太田雄貴氏である。
2016年の引退から1年後に日本フェンシング協会会長に就任すると、協会改革やエンタメ性の強い大会運営などで、フェンシングの注目度を大きく高めてきた。その成功の裏には、剣の切っ先のように鋭いビジネスセンスがあった。太田氏が考える競技団体の在り方とは。話を聞いた。
オリンピック後の見通し「明るくない」
そもそも、太田氏は多くの協会や団体で補助金が減額される「オリンピック後」をどう見ているのだろうか。
「見通しは明るくはありません。そもそも多くの団体の収益構造が補助金依存になってしまっていますし、その補助金もオリンピック後はわかりやすいほどに減額されます。仕方ない面はありますが、それら補助金なり交付金なりの使い方を十分に考える必要はあります」
とはいえ、スポーツ団体のマネタイズ方は、選択肢が多くはない、と太田氏は言う。
「まず大会の事業化。チケット収入にグッズ販売、放映権、それにスポンサー企業の獲得です。企業の中にはコロナによって打撃を受けているところも少なくありませんが、この状況でどのようなメリットを作り、企業にアクティベーションをかけていくか。そこは考えるだけでなく、行動し続けるしかないと思っています」と太田氏。
試行錯誤する中で、最近は佐賀県のふるさと納税を始めたという。協会として佐賀県と協定を結び、ふるさと納税を使って佐賀県フェンシング協会または日本フェンシング協会に寄付ができる、という仕組みだ。
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