太田雄貴「スポーツ協会の補助金依存は問題」 フェンシング協会が考える新たなマネタイズ法

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企業が団体をスポンサードするとなれば、額の大小に関わらず、社内稟議を通さねばならない。しかし個人の寄付となれば話は早い。金額は小さくとも、ハードルはグッと低くなり、収益の間口が広がることになる。

マネタイズにも大きくかかわるのが集客だ。例えば、選手たちが頻繁にテレビに登場すれば注目度は高まるし、スポンサーとして手を上げる企業も増えてくる。しかし、そこに集客の発想がないと、ビジネスとして回っていかない。ここが手薄になっている競技団体も目にする、と太田氏は指摘する。

「何かの競技大会を地上波で放映して、そこそこ視聴率が取れ、スポンサーもつく。でもその映像に映った観客席がガラガラだったら? 私がスポンサーの立場だったら『スポンサードする価値があるのか』と考えるはずです」

地道な「目標」の達成を繰り返す

太田氏が会長に就任した当時のフェンシングは、残念ながら「ガラガラ」の状態だった。そこで、達成可能な目標を設定し、それを目指すことを協会内でも徹底した。

「思い立ったからといって『明日、月に行こう』なんて無理なことです。『明日は富士に登頂するぞ』というのも難しい。でも、もっと低い、手近な山だったらできる。その繰り返しです」

設定した目標を達成したら、次の目標を目指す。この繰り返しで、毎年行われる「全日本フェンシング選手権大会」をパワーアップさせていった。

まず会長就任の初年は、大会での集客を前年の150人前後から1500人規模に増やした。「100人のスタッフが15人集客すれば、それだけで1500人になる。できないことではない」と取り組み、実現した数字である。

2年目には客単価を高めるべくチケットの価格を上げ、それをいかに売るかに知恵を絞った。結果、会場を劇場に設定し、大型のディスプレイを備えて、エンタメ性を高めた。チケットは発売から40時間で完売したという。

2019年の全日本選手権でも数々の仕掛けを施していく。まず、それまで1日ですべての対戦カードを消化していたスタイルを、週末の土日2日間にわけた。また会場は、新装なった渋谷公会堂のこけら落としに滑り込ませた。

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