資生堂、「7年ぶり最終赤字」からの復活戦略 スキンケアを強化、カギは日中の市場攻略

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1600億円の事業売却に株価も反応した。1月中旬を底に株価は騰勢を強め、2月15日以降、終値は8000円を超えて推移している。2月17日の時価総額は3兆3000億円近い。

ただ、社内や販売現場の受け止めはマーケットとは若干異なるようだ。

「(日用品事業がなくなると)資生堂との接点が減ってしまうのではないだろうか」。ある社員はこう打ち明ける。ドラッグストアの化粧品売り場で働く美容部員も、「お客さんを呼び込むチャンスが減ってしまう」と嘆く。

好採算のスキンケア商品に集中

ドラッグストアなどの店頭では、TSUBAKIや洗顔剤「専科」などの商品を手にとる顧客に声をかけ、化粧品のカウンセリングに呼び込んでいた。資生堂の商品を知るきっかけとなっていたのが、これらの日用品だった。今回の事業売却により、販売現場では顧客を呼び込む武器を1つ失うことになる。

社内の心配をよそに、資生堂は今後も低収益事業の撤退や売却を進め、好採算のスキンケア商品などに経営資源を集約していくとみられる。魚谷社長は9日の説明会で「スキンケアを中心とする化粧品事業会社に完全に集中していく」と話している。

高価格帯スキンケアが中心の「ザ・ギンザ」は、2019年12月期の売上高は244億円にすぎないが、純利益は71億円。売上高純利益率は実に29%に達する。

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