「男に産休?」と茶化す人が知らない超大事な話 赤ちゃんとの触れ合いが「父親になる」第一歩だ

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ノースウエスタン大学の人類学者らは2011年、人間の男性を対象に行った研究結果として、父親になるとテストステロンという男性ホルモンの一種の分泌量が激減すると発表しています(Longitudinal evidence that fatherhood decreases testosterone in human males/PNAS/2011年9月27日)。

テストステロンは、肉体的には筋肉や体毛の発育を促進し、精神的には攻撃性や衝動性を亢進する、「男性性」の源のようなホルモンです。異性に対する興味や性欲にも強く関係しています。つまり、パパスイッチが入ることで、単に子育てに熱心になるというだけではなくて、性格的には丸くなり、よその女性にも興味を示しにくくなるという効果も期待できるのです。

そして何より、ホルモンの分泌のされ方が変わるということは、人間の男性もやはり何らかの形で、自分が父親になったことを理屈ではなくて肉体のレベルで感知するアンテナがあるということです。

子どもとベタベタできる日曜日は人生の1%

パパが赤ちゃんと勝手にベタベタしてくれるようになればしめたものなのですが、そもそもそこまでもっていくのが大変だったりします。

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「オレにできることはない。育児はママの担当」と決めつけ、父親としての自覚どころか、子育てに対する関心すらなかなかもたないパパに対しては、日曜日に次の質問をしてみてください。

「子どもが『パパ〜!』って無条件に抱きついてくれるのなんて、きっと小学校に上がるくらいまででしょ。仮に子どもが6歳になるまで、毎週日曜日を子どもといっしょに過ごせたとして、それってあなたの人生のうちで何%くらいの時間になると思う?」

答えは、なんと約1%です。子どもが6歳になるまで、日曜日は約300日あります。そして、人の一生は約3万日といわれています。割り算すれば、ほら、たった1%なんです。

「育児は今しかできない」ということは、さすがにパパたちも概念的にわかっていると思います。でも、実際に「1%」なんていう数字にしてみると、「本当に貴重だ」という実感が湧きやすいんじゃないでしょうか。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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