「出生前診断」が気になる人に伝えたい最新知識 進化した「NIPT」という方法をご存じですか?

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このNIPTを行える医療機関は、認可施設と認可外施設の2種類があります。認可施設は日本産婦人科学会が認定した施設であり、大学病院を中心に現在92施設が認可施設となっています。ここでは産婦人科医が検査を行うほか、遺伝カウンセリングという出生前診断に関する精神的ケアが充実していることが特徴です。

ただし、認可施設でNIPTを受けられるのは原則35歳以上の妊婦や、以前ダウン症等の子どもを出産した人であるなど、検査の対象が限定されており、とくに若い妊婦は希望の検査が受けられない場合があります。また大学病院では手続きや待ち時間に非常に時間がかかる場合もあります。

一方、認可外施設はこのような縛りがなく、検査を望む妊婦であれば(検査可能な妊娠週数は決まっていますが)誰でも検査可能です。認定施設との違いは学会の認定の有無であり、もちろん違法性もなく、むしろ若い妊婦にとっては制約なく子どもの健康状態を知ることができます。

検査そのものは外部の検査機関が行うため、医師が行う手技は一般的な血液検査と同じ採血のみであり、産婦人科医でなくとも正確に検査を行うことができます。そのため美容外科医など、自由診療を行っていた医師が携わるところが多い印象です。

NIPTでは時期と時間も重要に

ただし、認可外施設は学会の認定要件を満たしていないため、クリニックによって対応や料金がまちまちである点には注意が必要です。また、検査に時間がかかる場合もあります。なぜなら、認可施設では国内の検査機関に検体を送るためすぐに結果を知ることができますが、認可外の多くの施設では海外の検査期間に航空輸送されるためです。検査精度はほぼ同じですが、新型コロナウイルス流行中の現在は空輸に時間がかかり、結果がわかるまで1カ月程度かかることもあります。

時間がかかると何が問題になるのかというと、その後の検査に影響が出ることがその理由です。通常、NIPTで異常が認められた場合は確定診断として羊水検査等を行いますが、NIPTを受ける時期(妊娠10週~)が遅いと羊水検査が可能な妊娠週数(~17週)を過ぎてしまうおそれもあります。

また、胎児の異常が確定し命の選択を行った場合も、日本での人工妊娠中絶は22週までと定められています。結果がわかるのが遅いと、検査可能な週数を過ぎてしまい、必要な検査や処置が受けられなくなる可能性があります。ただ、最近、認可外施設の中には、国内で検査を行う施設もあるため事前にHP等で調べることをおすすめします。

出産や育児は技術の進歩がめざましい一方、倫理的な問題が大きく絡んでくる分野でもあります。医学的に正しい知識を持ったうえで、夫婦にとって納得のいく選択ができる社会になればと思います。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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