環境破壊を「甘く見る人」が2040年直面する苦難 今後「戦争の引き金」にだってなりうる

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2040年の気温は、産業革命前より2度以上上昇するのは避けられそうもない。そうなれば、干ばつや猛暑を含む異常気象が頻発するだろう。インドから中東の都市では、夏の外出が命がけになる。

アフリカでは2050年までに栄養失調児が1000万人増え、2100年までに降水量は40%低下する可能性がある。耕作地は最大90%、1人当たりの食料は15%減るとの予測もある。

気候リスクは枚挙にいとまがない。温暖化のみならず、すでにイナゴの大量発生など、かつては30年に1度といわれた出来事が毎年のように世界のどこかで起きていることからもわかるだろう。

こうした状況が改善されなければ、当然、食料の価格は上昇し、貧困はさらに蔓延する。

「水」が最も希少な資源になる

1995年に、世界銀行環境担当副総裁であったイスマイル・セラゲルディン氏が発した警告がある。それは「20世紀の戦争が石油をめぐって戦われたとすれば、21世紀の戦争は水をめぐって戦われるであろう」というものだ。食料不足もそうだが、その前に深刻な水不足も起きるだろう。水は石油よりも貴重になる。

すでにアフリカでは、気候変動による水不足に2億5000万人が直面している。2050年は、アジアでも水不足が起こる。10億人が水不足に陥り、世界中の都市部で利用できる水が今の3分の2まで落ちこむ。

水不足で戦争も起きかねない。かつて、エジプトとスーダン、エチオピアがナイル川の利権でもめたような事態が常態化する。

20世紀には石油の利権が戦争を引き起こしたが、21世紀は水をめぐる戦争が多発するはずだ。

アメリカの国家情報長官室がまとめた報告書がある。ここでは、将来水が不足し、それが原因で争いの種になることが言及されている。水の確保をめぐり、大河流域の国々で緊張が高まり、上流の国が水を独占したり、ダムなどを狙ったテロが起きたりする恐れがあるというのだ。

荒唐無稽に聞こえるかもしれないが、この報告書は、水不足をめぐって戦争が起こるリスクを分析するために国務省の指示で作成されている。それだけ、気候変動と水不足の引き起こす事態を憂慮しているのだ。

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