埼玉・日高「メガソーラー法廷闘争」が招く波紋 豪雨被害や景観破壊恐れ、条例の規制強まる中で

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太陽光発電設備の「適正」な建設のほか、自然や地域社会との「調和」を求める自治体の動きは、全国各地に広がった。一般財団法人・地方自治研究機構によると、条例制定の動きは2014年頃から始まり、2020年12月3日の時点で134条例が確認できたという。このうち、都道府県の3条例を除き、131は市町村によるものだ。市町村条例は、2019年には42、2020年は24にのぼった。

ところが最近、これに対抗する動きが出てきた。条例によりメガソーラーの建設ができなくなった事業者が、「条例は違憲であり、無効である」として自らが建設を行う権利の確認を求める訴えを起こしたのだ。

訴えを起こしたのは、太陽光発電事業を行う「TKMデベロップメント株式会社」(本社=東京・渋谷区)(以下、TKM社)。昨年9月、埼玉県日高市を相手取り、「太陽光発電設備設置事業の権利確認等請求」をさいたま地裁に起こした。

TKM社は、日高市高麗本郷の約15ヘクタールを超える土地に総発電出力1万1298キロワットのメガソーラーの建設を計画し、2018年11月から地元説明会を始めた。まさに日高市が2019年8月、「太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」を公布・施行するきっかけになった事業計画だった。

営業の自由や財産権の侵害などで争う

訴状によると、日高市の条例は「違憲、違法にして無効」であるというのが、原告の主張。広大な範囲の土地につき、一律かつ全面的な禁止により、事業者の営業の自由を侵害し、またメガソーラー建設に市長が同意しない特定保護地域内の土地所有者、地権者の財産権を侵害している、としている。1月20日に行われた第1回口頭弁論で原告側代理人は「条例により、森林法の林地開発許可手続きに入ることを阻害された。条例自体が、営業の自由を保障した憲法に違反する」と主張した。

一方、日高市は訴訟を提起されたことに対し、「条例は適切な手続きを経て、憲法の各規程に抵触せず、適法に成立したものと認識している」(市民生活部環境課)と冷静に受け止めている。

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