埼玉・日高「メガソーラー法廷闘争」が招く波紋 豪雨被害や景観破壊恐れ、条例の規制強まる中で

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豪雨の際に太陽光発電設備が引き起こす問題は、西日本で問題化した例が知られる。2018年7月の西日本豪雨の直後、神戸市須磨区の山陽新幹線のトンネル出口付近で、線路沿いの斜面の上の太陽光パネルが崩落し、新幹線の運行が一時見合わされた。

同じ兵庫県の姫路市北部の林田町では、太陽光パネル約1300枚が山の中腹から崩れ落ちてしまった。こうしたことから、兵庫県は2019年、県の環境影響評価条例の施行規則を改正し、事業区域5ヘクタール以上の太陽光発電事業を対象とするが、それ以下の小規模事業者(0.5ヘクタール以上)に対しても自然環境調査を行い、報告書を作成するよう指導している。

地域の宝である景観に傷

メガソーラーに地域住民が難色を示す理由として、土砂災害への恐れに並んで大きいのが、景観を損なうというものだ。

群馬県高崎市では、「高崎観音」として知られる「白衣観音」近くの観音山丘陵でメガソーラー建設が計画され、騒ぎになった。2015年4月、「高崎市自然環境、景観等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」が施行された。特別保全地区を指定し、ここに“屋根置き”の太陽光を除く再生可能エネルギー発電設備を設置する事業者は市との事前協議を経て申請し、市長の許可を得なければならないという内容だ。

埼玉県日高市は2019年8月、「太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」を公布・施行した。条例を作る発端になったのは、地元で「遠足の聖地」と呼ばれ、曼殊沙華の群生地として知られる「巾着田」からよく見える丘の林地にメガソーラーの建設が計画されたことだった。条例とともに施行規則が定められ、森林保全区域、観光拠点区域などからなる特定保護区域が指定された。事業者は届け出を行い、市長の同意を得なければならないが、事業区域が特定保護区域内にある場合には市長は同意しない、と条例に明記されている。

群馬県高崎市と埼玉県日高市の条例はいずれも、地元が誇る景観がメガソーラーにより損なわれることを阻止したい、との住民の思いがベースになっている。

大事にしたい景観の中には、「地元が大事にしている」どころか、世界的に貴重とされている景観もある。2013年に世界文化遺産に登録された富士山の南麗にある静岡県富士宮市は、2015年7月に「富士山景観等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」を公布・施行している。

こうした条例はいずれも、太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーの普及拡大を支持するとしながら、その適正な配置や設置を求め、自然環境との調和を図ることを狙いとしている。

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